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コラム

AI導入はマーケティング部門から始めるべき理由と進め方5ステップ

AI導入はどの部門から始めるべきか。成果が数字で見えやすいマーケティング部門から着手すべき理由と、業務の絞り込みから運用ルール化までの進め方5ステップを、つまずきやすい点と社内の巻き込み方まで整理します。

公開日:2026年8月9日

執筆・編集:malna編集部(編集方針

AI導入はマーケティング部門から始めるべき理由と進め方5ステップ

「AIを導入したいが、どの部門から手をつければいいか分からない」というご相談を、当社は経営層の方から何度もいただいています。全社一斉に導入しようとして、結局どの部署も本格的に使わないまま終わってしまう、というケースを見てきました。

私自身がClaude Codeというエージェント型AIを社内に導入したことをきっかけに、まずマーケティング部門の業務からAI活用を進めてきました。そこで強く感じたのは、「AI導入は、どの部門から始めるかで定着のしやすさが大きく変わる」ということです。

本記事では、当社の実体験をもとに「なぜマーケティング部門から始めるべきなのか」という考え方と、実際の進め方5ステップを、判断基準・つまずきやすいポイント・社内の巻き込み方まで含めて具体的にご紹介します。すでにAI活用を検討している経営層・推進担当の方に、着手の判断材料として読んでいただけますと幸いです。

なお、本記事が扱うのは、ChatGPTやClaudeのような生成AI・AIエージェントを既存の業務プロセスに組み込んで使う場面です。自社専用の予測モデルをゼロから学習させるようなAI開発(大規模なデータ基盤の構築を前提とするもの)は、検討プロセスも必要な体制も異なるため、本記事では扱いません。また、導入の費用についてはAI導入の費用はいくらかかる?内訳と費用対効果の考え方、失敗事例についてはAI導入の失敗事例と成功のポイント、支援会社の選び方についてはAI導入支援会社・AIコンサルの選び方で、それぞれ詳しくご紹介しています。

AI導入とは何か、なぜ「進まない」と言われるのか

AI導入とは、生成AIやAIエージェントなどのツールを業務プロセスに組み込み、実際の成果につながる形で運用に定着させることだと当社は考えています。ツールを契約しただけでは導入したことにはならず、現場で使われ続けて初めて「導入できた」と言える状態です。

「AI導入 課題」というキーワードで検索する方が一定数いらっしゃることからも、多くの企業がこの「定着」の手前で止まっていることがうかがえます。「うちも似たような状態かもしれない」と感じる方は少なくないのではないでしょうか。当社が支援先や自社の試行錯誤の中で感じているのは、導入が進まない理由の多くが技術的な難易度ではなく、次のような組織側の構造にあるという点です(個別の失敗事例については別記事に譲り、ここでは構造だけに触れます)。

  • 導入の目的が「AIを使うこと」自体になってしまい、解決したい業務課題が曖昧
  • 効果を測る指標が決まっていないため、続ける・やめるの判断ができない
  • 一部の担当者だけが使っていて、チームとしての運用ルールがない
  • 「どの部門から始めるか」を決めないまま、全社に号令だけをかけてしまう

こうした構造は、どの部門にも起こり得ます。実際に「AI導入 進め方」「AI導入 方法」で検索すると、業界横断の一般論や、大企業の基幹システム的なAI導入を前提にした解説記事が多くヒットします。そうした記事は、AI活用のメリット・デメリットや導入の全体像を把握するには有用ですが、「自社のどの部門から、どの業務で着手すればよいか」という、実務上いちばん悩みやすい部分にはあまり踏み込んでいません。当社の経験では、この「効果を測る指標が決まっていない」という壁に最初にぶつかりにくい部門があります。それがマーケティング部門です。

なぜマーケティング部門から始めるべきなのか

当社がマーケティング部門からのAI導入を勧めているのは、単に「今の当社の専門領域だから」ではなく、成果が数字で見えやすいという実務上の理由があるからです。マーケティング部門は、もともとCV数・CPA(顧客獲得単価)・CTR(クリック率)・リード数といった指標で日々のPDCAを回している部署です。AI活用の前後を比較する土台が、すでに社内にあります。

一方で、バックオフィスや管理部門のように、成果指標そのものが定性的で測りにくい業務も少なくありません。そうした部門でAIを導入した場合、「楽になった気がする」という感覚以上の判断材料が得づらく、経営層への説明や継続投資の意思決定がブレやすくなります。

もちろん、マーケティング部門から始めることが唯一の正解だとは考えていません。すでに数値で管理された業務プロセスを持つ部門であれば、同様に着手しやすいはずです。当社が「マーケから」とお伝えしているのは、多くの企業でマーケティング部門がその条件に当てはまりやすいからだと考えています。

以下は、当社が支援現場で見てきた「着手しやすい部門」と「着手が難しい部門」の傾向を整理したものです。あくまで定性的な傾向であり、企業によって当てはまらないケースもあります。

観点マーケティング部門のような業務成果指標が定性的な業務
成果指標CV数・CPA等、日常的に数値で追っている数値化しにくい、または部署ごとに基準が異なる
業務の単位記事・広告・LPなど、業務単位が比較的小さく切り出せる一つの業務が複雑で、AIの担当範囲を切り出しにくい
意思決定サイクル短いPDCAサイクルに慣れている意思決定の頻度が低く、検証に時間がかかる
社内の合意形成「数字が改善したか」で議論しやすい効果の実感が個人差に依存しやすい
業務の切り出しやすさ広告文・LP・レポートなど、成果物単位で担当が分かれている一連の業務が個人の頭の中で完結しており、分解しにくい
マーケティング部門から始めるAI導入の5ステップを示した図
マーケティング部門から始めるAI導入の5ステップを示した図

この中でも特に効いてくるのが「業務の単位」です。マーケティング業務は、広告運用・LP制作・SNS運用・データ分析・レポート作成というように、成果物や工程の単位で比較的細かく切り出せます。AI導入の1ステップ目である「業務を1つに絞る」がやりやすいのは、この特性によるところが大きいと当社は捉えています。

AI導入はマーケティング部門から始める進め方5ステップ

マーケティング部門からAI導入を進める場合、当社は次の5ステップで進めることをお勧めしています。順番を飛ばして「本格導入」から始めようとすると、現場の合意形成が追いつかず、かえって定着が遅れる傾向があります。各ステップには、具体的な手順、着手・判断の基準、つまずきやすいポイントと対処、そして社内をどう巻き込むかを合わせて記載します。

  1. 業務を棚卸しし、着手する業務を1つに絞る
  2. 推進役を1人決め、小さく試す
  3. 効果を測る指標を先に決めておく
  4. 運用ルールを言語化し、チームに広げる
  5. 定期的に振り返り、対象業務を広げる

ステップ1:業務を棚卸しし、着手する業務を1つに絞る

最初にやるべきことは、マーケティング業務全体を洗い出し、AI活用の対象を1つの業務に絞り込むことです。複数の業務に同時に手を広げると、どこで効果が出たのかが分からなくなり、後の判断材料が濁ってしまいます。

具体的な手順

  1. 広告運用・LP制作・SNS運用・データ分析・レポート作成など、マーケティング業務を一覧化する
  2. それぞれの業務について、頻度(週に何回発生するか)・所要時間・担当者の人数をざっくり書き出す
  3. 下記のチェックリストに照らして、候補を2〜3業務に絞る
  4. 最終的に1業務を選び、対象範囲(どの工程からどの工程までか)を明確にする

着手する業務を選ぶ際のチェックリスト

  • 業務の発生頻度が高く、効果検証に十分な回数がすぐに確保できるか
  • やり方がある程度パターン化されており、属人的な勘に頼りきっていないか
  • 成果を測る指標(CV数・CPA・作業時間など)が既にある、または決めやすいか
  • うまくいかなかった場合の影響範囲が限定的で、大きな損失につながらないか

4項目すべてに「はい」と即答できる業務がなければ、無理に絞り込まず、範囲をさらに小さく区切ることを検討します。たとえば「広告運用」全体ではなく「バナー文案の初稿作成」のように、工程単位まで小さくすると条件を満たしやすくなります。

つまずきやすいポイントと対処 つまずきやすいのは、「効果が大きそうな業務」を優先してしまうことです。効果の大きさだけで選ぶと、業務が複雑で担当者も多く、AIの担当範囲を切り出しにくいケースにあたりやすくなります。最初の1つは「効果の大きさ」よりも「検証のしやすさ」を優先し、小さく確実に成果を確認できる業務を選ぶことを当社はお勧めしています。

当社自身の例で言えば、クライアント別の広告パフォーマンスレポート作成は、以前は担当者が毎回手作業で集計・作成していましたが、今は自動的に生成される仕組みに切り替わっています。最初にこの業務を選んだのは、担当者によってやり方が大きく変わらず、CPA・CV数といった指標がもともと数値で管理されていたためです。

社内の巻き込み方 この段階で説明が必要なのは、対象業務の部門長・現場責任者です。着手前に「なぜこの業務を選んだのか」を、上記チェックリストの基準に沿って共有しておくと、後から「なぜうちの業務は後回しなのか」という疑問が出た際にも説明がしやすくなります。

ステップ2:推進役を1人決め、小さく試す

対象業務が決まったら、担当者を明確に決めて、まずは限られた範囲でAIを試します。推進役が曖昧なまま「みんなで試してみましょう」と始めると、誰も責任を持って運用を回さず、いつの間にか使われなくなるというパターンを何度も見てきました。

具体的な手順

  1. 対象業務に日常的に関わっている担当者の中から、推進役を1人指名する
  2. 推進役の業務時間のうち、どの程度をAI活用の試行に充てられるかを上長と合意する
  3. 対象業務の一部(全件ではなく一部の案件)から試し始める
  4. 試行期間(例:2〜4週間など、業務のサイクルに合わせて設定)を先に決めておく

推進役を選ぶ基準 推進役に向いているのは、必ずしも「AIに詳しい人」ではありません。当社の経験では、次の条件を満たす人が最も定着しやすい傾向があります。

  • 対象業務を日常的に担当しており、業務の勘所を理解している
  • 新しいやり方を試すことに前向きで、うまくいかなかった場合も投げ出さず改善できる
  • チームに結果を共有することに抵抗がない(属人化させずに広げる意識がある)

つまずきやすいポイントと対処 つまずきやすいのは、推進役を「兼務」にしてしまい、既存業務が忙しくなると真っ先にAI活用の時間が削られてしまうことです。対処としては、推進役の業務時間の一部を明確に確保する(他の業務量を一時的に調整する)ことを、着手前に上長と合意しておくことが有効です。曖昧な「余った時間でやってください」という進め方では、ほぼ確実に後回しにされます。

社内の巻き込み方 推進役本人はもちろん、推進役の直属の上司にも着手前に説明が必要です。伝える内容は「推進役に期待する役割の範囲」「試行期間中、他の業務の優先順位をどう調整するか」の2点です。ここが曖昧なまま進めると、ステップ2の途中で推進役が孤立し、試行が尻すぼみになりやすくなります。

ステップ3:効果を測る指標を先に決めておく

試す前に「何が改善したら継続する判断をするか」を決めます。マーケティング部門であれば、既存のKPI(重要業績評価指標)にそのまま乗せられることが多く、この工程を新たに作り込む必要が少ないのが利点です。

指標設計の具体的な考え方 指標は、大きく分けて2種類を用意することを当社はお勧めしています。

  1. 成果指標:CV数・CPA・CTR・記事の公開本数など、AI活用によって最終的に改善したい数値
  2. 健全性の指標(ガードレール):品質チェックの差し戻し件数、誤った情報が含まれていた件数など、「速くなった代わりに質が落ちていないか」を確認するための指標

成果指標だけを追うと、「速くはなったが誤りが増えた」という状態に気づけないまま運用を続けてしまうことがあります。特にマーケティング業務は対外的な発信物(広告文・LP・SNS投稿など)を扱うため、健全性の指標を必ず併せて設計することを当社は重視しています。

判断基準の決め方 「何が改善したら継続するか」「何が悪化したら一旦止めるか」を、試行前に数値の方向性として言語化しておきます。具体的な閾値(何パーセント改善したら、など)は業務内容や既存の実績によって異なるため、本記事では一律の数字を示しません。自社の既存データを踏まえて、推進役と部門長が事前にすり合わせておくことが重要です。

つまずきやすいポイントと対処 つまずきやすいのは、指標を決めないまま試行を始めてしまい、後から「なんとなく良さそう」という感覚だけで継続を判断してしまうことです。感覚だけの判断は、担当者が変わった途端に評価が揺らぎます。対処は単純で、試行を始める前に指標と判断基準を紙に書き出しておくことです。書き出す作業自体に時間はかかりませんが、後の意思決定の速さと納得感が大きく変わります。

社内の巻き込み方 指標の設計は、推進役だけで決めず、部門長(必要であれば経営層も)を交えてすり合わせます。特に経営層への投資判断が絡む場合は、「何を見て継続・拡大を判断するのか」を試行前に共有しておくことで、後日の報告がスムーズになります。

ステップ4:運用ルールを言語化し、チームに広げる

うまくいったやり方を、個人の感覚のまま終わらせず、プロンプトの型や確認手順としてチームで共有できる形にします。当社でも、属人化したまま広げようとして定着に時間がかかった経験があります。

言語化する対象の具体例

  • 実際に使ったプロンプトのテンプレート(変数部分を明示したもの)
  • AIの出力を人がどこまで確認するか、確認する際のチェック項目
  • やってはいけないこと(例:顧客の個人情報や未公開の数値を直接プロンプトに入力しない等)
  • うまくいかなかった事例と、その時にどう修正したか

具体的な手順

  1. 推進役が試行期間中に使ったプロンプトや手順を、後から見返せる形で記録しておく
  2. 試行期間の終わりに、チームメンバーを交えて「何が良かったか・何を確認する必要があったか」を棚卸しする
  3. 上記を簡潔なドキュメントやチェックリストにまとめ、共有場所(社内ドキュメントやチャットツールの固定チャンネルなど)に置く
  4. チームメンバーが実際にそのドキュメントを使って同じ業務を試せるか、一度確認する

つまずきやすいポイントと対処 つまずきやすいのは、推進役の頭の中にはノウハウがあるのに、ドキュメント化する時間が確保されず、結局「聞かないと分からない」状態が続いてしまうことです。対処としては、試行期間の終わりにあらかじめ「振り返り・言語化の時間」をスケジュールに組み込んでおくことです。試行が一段落してから改めて時間を取ろうとすると、次の業務に気が移り、後回しになりがちです。

社内の巻き込み方 このステップでは、チームメンバー全員への共有が必須です。共有のタイミングは、小さく試した直後(記憶が新しいうち)が最も効果的です。共有する内容は、プロンプトの型・確認手順・やってはいけないことの3点を最低限含めます。

ステップ5:定期的に振り返り、対象業務を広げる

最初に選んだ1つの業務で運用が回り始めたら、次の業務に対象を広げます。ここで焦って一度に多くの業務へ展開すると、1つ目の運用ルールが崩れてしまうことがあるため、業務を1つずつ広げる進め方を意識しています。

具体的な手順

  1. あらかじめ決めておいた指標(ステップ3)を、決めておいた頻度(例:月次など)で確認する
  2. 成果指標・健全性の指標の両方を踏まえて、「継続」「改善して継続」「一旦停止」のいずれかを判断する
  3. 継続と判断できた場合、次に対象とする業務をステップ1のチェックリストに沿って選び直す
  4. 新しい業務でも、ステップ1〜4を同じ順序で繰り返す(1つ目の運用を止めずに並行して進める)

対象業務を広げる際の判断基準 次の業務に広げるかどうかは、「1つ目の業務の運用が、推進役がいなくてもチームで回る状態になっているか」を基準にすることを当社はお勧めしています。推進役が抜けた途端に止まってしまう状態のまま次の業務に手を広げると、どちらも中途半端になりやすいためです。

当社の実例では、記事の更新齢やスパムバックリンクの検知、一次情報の鮮度チェックといったSEOの定期的な棚卸しも、最初は個別に人が確認していたものを、広告レポートの自動化で得た「仕組み化の型」を応用する形で、後から定期実行の仕組みに広げています。最初の1業務で得た型を横展開する、という進め方の一例です。

つまずきやすいポイントと対処 つまずきやすいのは、指標の振り返りを「気が向いたとき」に不定期で行ってしまうことです。不定期な振り返りは忘れられやすく、悪化に気づくのが遅れます。対処は、振り返りの頻度と担当者をステップ3の時点であらかじめカレンダーに組み込んでおくことです。

社内の巻き込み方 振り返りの結果は、次に対象とする業務の担当者に、1つ目の業務で分かったこと(うまくいった型・つまずいた点)を先に共有してから着手します。ゼロから同じ失敗を繰り返さないための引き継ぎです。

5ステップ共通:社内の巻き込み方の全体像

ステップごとに触れた「誰に・いつ・何を説明するか」を一覧にすると、次のようになります。

ステップ巻き込む相手説明するタイミング伝える内容
1. 業務を1つに絞る対象業務の部門長・現場責任者着手前なぜこの業務を選んだか(チェックリストの基準)
2. 推進役を決める推進役本人とその上司着手前役割の範囲、試行期間中の優先順位の調整
3. 指標を決める推進役、部門長(必要に応じ経営層)試行を始める前何を測るか、何を基準に継続・停止を判断するか
4. ルールを言語化するチームメンバー全員小さく試した直後プロンプトの型、確認手順、やってはいけないこと
5. 対象業務を広げる次に対象とする業務の担当者振り返り完了後1つ目の業務で分かったこと、新しい業務での進め方

このステップに共通しているのは、「AIに何をやらせるか」ではなく「どう設計するか」という考え方です。裏を返せば、最初の1業務を決める工程は「やること」を選ぶだけでなく、「今回はやらないこと」を決める工程でもあります。ツールの機能を試すことが目的化してしまうと、担当者が変わった途端に運用が止まってしまいます。

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課題が固まっていない段階でも、実務でAIを使える人材への依頼内容を一緒に整理できます。

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マーケで成果が出たら、他部門にどう広げるか

マーケティング部門での運用が定着したら、その進め方自体を他部門に展開するという順序が現実的だと当社は考えています。マーケティング部門で得られた「どの業務から着手し、どう指標を決め、どうルール化したか」という進め方の型は、部門を問わず転用できるからです。

ここで大切なのは、マーケティング部門で使ったAIの機能をそのまま他部門に持ち込もうとしないことです。業務内容が異なれば、着手する業務の切り出し方や指標の置き方も変わります。持ち込むべきは「進め方」であって、「ツールの使い方」ではありません。前章のステップ1のチェックリスト(発生頻度・パターン化の度合い・指標の有無・影響範囲)は、マーケティング以外の部門で最初の業務を選ぶ際にもそのまま応用できます。

社内でAI活用の実例が1つできると、他部門からも「うちでも試してみたい」という声が上がりやすくなります。全社への号令だけで進めるより、こうした横展開の方が現場の納得感を得やすいというのが、当社が社内でAI導入を進めてきた中での実感です。他部門への展開時に説明する相手も、マーケティング部門で行った「部門長→推進役→チーム」という順序をそのまま踏襲すると、合意形成がスムーズに進みやすくなります。

AI導入の進め方について説明するマーケティング担当者
AI導入の進め方について説明するマーケティング担当者

よくある質問

生成AIの導入とAI導入は何が違いますか? 生成AIはAI導入で使われるツールの一種であり、AI導入はそのツールを業務に組み込んで運用に定着させるプロセス全体を指します。生成AIを契約しただけでは、AI導入が完了したとは言えません。

AI導入がうまく進まないのはなぜですか? 当社が見てきた範囲では、技術的な難易度よりも、目的が曖昧なまま始めてしまうこと、効果を測る指標を決めていないこと、推進役が明確でないことが要因になっているケースが多い傾向にあります。

マーケティング部門以外でもこの進め方は使えますか? 使えると考えています。本記事の5ステップは、成果指標を数値で持っている業務であれば、部門を問わず応用できる進め方です。マーケティング部門はその条件に当てはまりやすいというだけで、唯一の対象ではありません。

AI導入はどのくらいの期間で成果が見えますか? 対象にする業務の範囲や社内の体制によって大きく異なるため、一概には言えません。ただ、本記事の5ステップの通り最初に着手する業務を1つに絞り、効果を測る指標を先に決めておけば、少なくとも「続けるか、やめるか」を判断できる材料は早い段階で揃えやすくなります。

推進役は必ず専任にすべきですか? 必ずしも専任である必要はありません。ただし、ステップ2で触れた通り、兼務のまま業務時間の調整をしないと、既存業務が忙しくなった際にAI活用の時間が真っ先に削られやすくなります。専任にしない場合は、試行期間中だけでも業務時間の一部を明確に確保しておくことをお勧めします。

効果が出なかった場合、その業務のAI活用はやめるべきですか? ステップ3であらかじめ決めておいた指標が悪化した場合は、無理に継続せず一旦停止する判断も選択肢です。ただし、指標が悪化した原因が「AI活用そのもの」なのか「運用ルールが不十分だったこと」なのかは切り分けて確認する必要があります。原因の切り分けについては、AI導入の失敗事例と成功のポイントで詳しく取り上げています。

まとめ

AI導入は、全社一斉に進めようとすると、かえって誰も本格的に使わないまま終わってしまうことが少なくありません。成果を数字で確認しやすいマーケティング部門から着手し、業務を1つに絞る、推進役を決める、指標を先に決める、ルールを言語化する、少しずつ対象を広げる、という5ステップを踏むという順序を、当社はお勧めしています。

当社では、マーケティング部門を起点にしたAI導入のご相談も承っています。「どの業務から始めればいいか整理したい」という段階でも、ぜひお気軽にご相談ください。

自社のAI導入・AI活用について相談したい場合は、企業からのご相談もご検討ください。

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