コラム
AISASはもう古い?AI時代の購買行動モデル
「AISASは古い」と検索する方が本当に知りたいのは、SNS時代の新しい購買行動モデルと、AI検索・AIレコメンドが購買行動に入り込む変化への対応です。malnaの観察から解説します。
公開日:2026年8月13日
執筆・編集:malna編集部(編集方針)

「AISASはもう古いのではないか」と検索する方が増えていると当社は感じています。SNSでの情報収集が当たり前になり、さらに検索そのものをAIが担う場面も出てきた今、2000年代に整理されたAISASという購買行動モデルが、今の消費者の実際の動きを説明しきれていないと感じる方が多いのではないでしょうか。
先に当社の結論をお伝えすると、AISASという枠組み自体が無意味になったわけではなく、モデルが指し示す「検索」と「共有」の中身が、SNSとAIという2つの技術変化によって大きく広がったことが、「古い」と感じられる最大の理由だと当社は捉えています。
当社malnaは、クライアント企業のSEO・コンテンツマーケティング支援を行う中で、検索行動の変化を実務として観察してきました。本記事では、AISAS・AIDMAという従来モデルの位置づけを整理したうえで、SNS普及期に生まれた新しい購買行動モデルを解説し、さらにその先で起きているAI検索・AIレコメンドが購買行動に入り込む変化と、企業が今考えておくべきことをお伝えします。
AISAS・AIDMAとは何か
AISASとは、Attention(注意)→Interest(興味)→Search(検索)→Action(購買)→Share(共有)という5段階で購買行動を説明するモデルです。インターネットの普及によって、消費者が購買前に情報を「検索」し、購買後に感想を「共有」する行動が一般化したことを踏まえて整理されたもので、電通が提唱し、商標登録も行っているモデルとして広く知られています。
AISASより前に長く使われてきたのが、Attention(注意)→Interest(興味)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(購買)という段階で購買行動を説明するAIDMAです。テレビCMや紙媒体の広告で興味を持ち、記憶に残った状態で店頭に足を運んで購買するという、マスメディア時代の消費者行動を説明するモデルとして、日本のマーケティング教育の基本モデルの一つになっています。AIDMAは20世紀前半のアメリカで生まれたとされていますが、提唱者については複数の説があり、当社では特定の人物名を断定しません。
AISASがAIDMAと決定的に違うのは、購買の手前に「検索」という工程を、購買の後に「共有」という工程を明示的に組み込んだ点です。この2つの工程を消費者行動として捉え直したこと自体が、AISASが果たした役割だと当社は考えています。
「AISASは古い」と言われる理由
「aisas 古い」と検索する方の多くは、AISASの5段階そのものが誤っているというより、「検索」と「共有」の中身が2000年代当時とは全く違うものになっている、という違和感を持っているのではないかと当社は考えています。
当社が支援先のSEO・コンテンツ運用で見てきた範囲でも、消費者が情報を探す場所は検索エンジンだけでなく、SNS内検索やAIチャットへと広がっており、「共有」もブログ・レビューサイトへの投稿だけでなく、SNSへの投稿・保存・タグ付けなど多様な形に分岐しています。AISASという骨組み自体は今も購買行動の大枠を説明できますが、S(検索)とS(共有)の中で実際に何が起きているかを、当時の解説のままでは説明しきれなくなっている、というのが当社の見立てです。
この違和感を踏まえ、SNSが購買行動の中心に入り込んできた時期以降、いくつかの新しい購買行動モデルが提唱されてきました。
SNS普及がもたらした、新しい購買行動モデル
SNSでの情報収集・拡散を前提に整理されたモデルの主なものを、以下の表に整理しました。それぞれの提唱については、当社が確認できた範囲のみを記載しています。
| モデル | 何を捉えているか | 提唱(確認できた範囲) |
|---|---|---|
| AIDMA | 注意・興味・欲求・記憶を経て購買に至る心理段階 | 20世紀前半のアメリカで生まれたとされ、提唱者は複数の説があるため断定しません |
| AISAS | 購買前の「検索」・購買後の「共有」を組み込んだ行動 | 電通が提唱し、商標登録も行っているモデルとして知られています |
| VISAS | 口コミへの共感(Sympathy)から拡散していく行動 | SNS普及期に提唱された考え方で、本記事では提唱した企業・個人を断定しません |
| ULSSAS | ユーザー投稿(UGC)を起点に検索・購買・拡散が循環する行動 | SNSマーケティングを専門とする株式会社ホットリンクが提唱したモデルです |
| DECAX | コンテンツを通じた発見から体験共有までの行動 | 電通グループが提唱したコンテンツマーケティング向けのモデルとして紹介されています |
「もう古い」という声を受けて後継モデルを扱う専門メディアの記事も増えており、SNS普及以降の購買行動モデルの世代交代は、当社が独自に感じている変化ではなく、業界内で広く議論されているテーマです(参照:MarkeZine、2026年8月確認)。
ULSSASが示す「共有が起点になる」という発想の転換
この中でも、当社が実務上重要だと感じているのがULSSASです。AISASが「検索→購買→共有」という一方向の流れだったのに対し、ULSSASは「ユーザーの投稿(UGC)が新しい検索や購買を生む」という循環構造を示している点が最大の特徴です。
具体的には、一人の顧客が実際に使った感想をSNSに投稿すると、その投稿を見た別の消費者がSNS内で検索し、購買に至り、また自身の感想を投稿する、という循環が生まれます。この循環の中では、企業が発信する広告よりも、顧客自身の投稿の方が起点になりやすいという特徴があります。
当社がクライアント企業のSNS運用・コンテンツ支援で感じているのは、この循環を企業側が意図的に「作る」ことは難しく、企業にできるのは、顧客が自然に投稿したくなる体験や情報を用意し、投稿された声を丁寧に拾って発信に活かすところまでだという点です。UGCを人為的に量産しようとする施策は消費者に見抜かれやすく、逆効果になりかねないと当社は考えています。

さらに次に来ている変化:検索そのものがAIに置き換わり始めている
ULSSASのようなSNS起点のモデルが購買行動の実態を説明する一方で、当社が支援の現場でこの1〜2年強く感じているのは、購買前の「検索」という工程そのものの担い手が、検索エンジンからAIへと広がり始めているという変化です。
具体的には、消費者が「〇〇 おすすめ」と検索エンジンに入力する代わりに、AIチャットに直接質問して回答をもらう、あるいは検索結果に表示されるAIによる要約を読んで満足し、個別サイトへのクリックを省略する、という行動が増えています。これは、AISASの「S(検索)」が指していた行動そのものが変質している、と当社は捉えています。
さらに、ECサイトやアプリのレコメンド機能がAIによって高度化し、「検索してから比較する」というプロセスの一部を、AIが提案する形に置き換えている場面も増えています。消費者が自分で探す前にAIが候補を提示してくる購買行動が、一部の消費者にとって既に当たり前になり始めている、というのが当社の実感です。

企業側が今考えておくべきこと
この変化に対して、当社が企業側に必要だと考えているのは、次のような視点です。
- 自社の情報がAIの回答・要約に反映されているかを確認する:自社の商品・サービス名でAIチャットに質問してみて、どのような情報が返ってくるかを定期的に確認することが、まず最初の一歩になります。
- AIが引用しやすい、根拠が明確なコンテンツを用意する:曖昧な表現や根拠のない主張は、AIの回答に反映されにくいと当社は感じています。
- 検索エンジン経由の流入だけでなく、AI経由の言及・引用も評価対象に加える:従来のアクセス解析だけでは、この変化を捉えきれない場面が増えています。
なお、AI検索への具体的な最適化手法(いわゆるAIO・GEO対策の実務手順)は専門性の高い領域であり、本記事の範囲では扱いません。当社では、まずは「AIがどう自社を語っているか」を確認するところから始めることをお勧めしています。
AISASという枠組みは、まだ使えるのか
ここまでの内容を踏まえて、当社の考えをまとめます。AISASという5段階の枠組み自体は、購買行動の大枠を捉える手段として、今も否定されるものではないと当社は考えています。実際に、企画会議やクライアントへの説明で、購買行動を大きく捉える共通言語としてAISASを使う場面は今もあります。
一方で、「S(検索)」と「S(共有)」の中で実際に何が起きているかを説明する力は、当時の解説だけでは足りなくなっています。ULSSASのようなSNS起点の循環モデルや、検索そのものがAIに置き換わっていく変化を踏まえて、自社の顧客が実際にどこで情報を探し、どこで購買を決め、どこで感想を発信しているかを、その都度自分たちの目で確認し続ける姿勢の方が、特定のモデル名にこだわることより重要だと当社は考えています。
よくある質問
Q1. AIDMAとAISASの違いは何ですか。 AIDMAは、テレビCMや紙媒体を見て興味を持ち、記憶に残った状態で購買に至るという、マスメディア時代の行動を説明するモデルです。AISASは、インターネットの普及を踏まえ、購買前に「検索(Search)」する行動と、購買後に感想を「共有(Share)」する行動を明示的に組み込んだ点が最大の違いです。
Q2. AISASはもう使わない方がよいですか。 当社は、AISASという枠組み自体を使わなくなる必要はないと考えています。ただし「検索」「共有」の中身がSNSやAIの普及で大きく変わっているため、5段階だけを覚えて満足せず、自社の顧客が実際にどこで情報を探しているかを個別に確認する姿勢が必要です。
Q3. AISASの次に来るモデルは何ですか。 明確に「これが次」と言える単一の後継モデルは無いと当社は考えています。SNS普及期にはULSSASやVISASのような循環型のモデルが提唱されており、現在はさらに、AI検索やAIレコメンドが購買前の情報収集に入り込む変化が進んでいます。単一のモデルに置き換わるというより、複数の変化が同時に進行している段階だと捉えています。
Q4. 中小企業でもAI検索への対応は必要ですか。 規模の大小にかかわらず、必要になってくると当社は考えています。BtoC・BtoBを問わず、消費者や担当者がAIに質問して情報収集する行動は広がっており、まずは自社名や自社の商品名でAIに質問してみて、どのような情報が返ってくるかを確認することから始められます。
Q5. ULSSASと従来のSNSマーケティングは何が違いますか。 従来のSNSマーケティングは、企業がSNSで発信することに主眼が置かれていましたが、ULSSASは顧客自身の投稿(UGC)が新しい検索や購買を生むという循環構造に注目している点が異なります。企業がコントロールしにくい領域である分、顧客の自然な投稿を促す体験づくりが重要になります。
さいごに
「AISASはもう古い」と感じる背景には、購買行動そのものが変わったのではなく、「検索」と「共有」という2つの工程の中身が、SNSとAIの両方の影響で大きく広がったという事実があると当社は考えています。当社自身も、クライアント企業のSEO・コンテンツ支援の中で、この変化を実務として観察し続けています。
なお、購買行動モデルの変化だけでなく、AI活用によってマーケティング業務や組織そのものがどう変わっているかについては、マーケティングの仕事はAIでなくなるのかやAIネイティブなマーケティング組織のつくり方でも扱っています。マーケティング組織のAI活用を体系的に検討したい場合は、マーケティング組織のAI化とはもあわせてご覧ください。
自社の顧客が実際にどこで情報を探し、どう共有しているか、そしてAIがどのように自社を語っているかを確認したい方は、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。
自社のマーケティング・AI活用について相談したい場合は、企業からのご相談もご検討ください。



