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コラム

バックオフィスのAI活用|経理・人事・総務の業務別ユースケースと進め方

経理・人事・総務それぞれのAI活用ユースケースと、判断基準・注意点・進め方を、malna自身の社内実践を交えて解説します。「AIに任せる」「人が締める」の線引きを業務別に整理します。

公開日:2026年8月9日

執筆・編集:malna編集部(編集方針

バックオフィスのAI活用|経理・人事・総務の業務別ユースケースと進め方

バックオフィスにAI(人工知能)を活用するとは、経理・人事・総務といった管理部門の業務のうち、定型的で規程に沿って進める業務をAIに任せ、判断が必要な部分だけを人が締めるという業務の再設計を指します。この記事では、経理・人事・総務それぞれの業務別ユースケースと、実際に進める際の手順を、当社malna自身の社内実践を交えて解説します。

営業やマーケティングの現場ではAI活用の話題が先行しがちですが、実は定型業務・規程準拠業務が多いバックオフィスこそ、AIが最初に効く領域だと当社は考えています。理由は後述しますが、まずは全体像から見ていきましょう。

なぜバックオフィスにAIが向いているのか

バックオフィス業務には、次のような特徴があります。

  • 判断の基準が規程・法令・契約であらかじめ決まっている
  • 同じ形式の書類・データを繰り返し処理する
  • 「正しいかどうか」を最終的に人が確認する工程が既に組み込まれている

この3つの特徴は、AIに業務を任せるときの前提条件とほぼ一致します。AIは「決まった型に沿って処理する」ことと「大量の情報から該当箇所を見つける」ことを得意としますが、「何を正解とするか」を自分で決める業務には向きません。バックオフィスはもともと正解の基準が明確な業務が多いため、AIとの相性が良いのです。

一方で、経理・人事・総務が扱う情報には、財務データ・個人情報・契約情報など機密性の高いものが多く含まれます。効率化の話をする前に、何を任せてよく、何を任せてはいけないのかを先に決めておく必要があります。この記事では、業務別のユースケースと合わせて、注意点も必須の内容として扱います。

経理業務でのAI活用

経理は、バックオフィスの中でも最もAIとの相性が良い業務だと当社は考えています。請求書・領収書・仕訳・月次の締め作業など、フォーマットが決まっている業務が多く、かつ「正しいかどうか」を最終的に確認する工程(承認・レビュー)が既に業務プロセスに組み込まれているためです。

なお、以下で紹介する自動化の仕組みは、経理・人事・総務のスタッフが自らAIツールのターミナルを操作して構築したものではありません。社内の推進担当(情報システムやDX推進を担う担当者)がClaude Codeなどのエージェント型AIツールを使って自動化の仕組みを構築し、経理・人事・総務のスタッフはSlack通知や自動生成された書類、集計済みのダッシュボードといった「できあがった成果物」を日々の業務で使う、という構造です。この構築者と利用者を分けて考える視点は、この記事全体を通じて一貫させています。

請求書・領収書の読み取りと下書き作成

請求書や領収書の画像・PDFから、取引先名・金額・日付・品目などの情報を読み取り、会計システムに入力するための下書きを作る、というのが最も分かりやすいユースケースです。以前は人が一件ずつ目で確認して手入力していた作業が、AIによる読み取りと下書き生成に置き換わることで、人の作業は「AIが作った下書きを確認して確定する」という工程に変わります。

ここで欠かせないのは、AIが作った下書きをそのまま自動で確定させず、必ず人が最終確認をする工程を残すことです。金額や取引先名の読み取り誤りは、経理業務において小さなミスでも後々の修正コストが大きくなりやすいため、「AIが下書きを作る、人が確定する」という役割分担を崩さないようにしましょう。

月次の照合・チェック業務

経理には、複数のデータソースを突き合わせて一致しているかを確認する「照合」業務が多くあります。例えば、広告費や外注費のように立替が発生する費用の場合、実際に決済した金額とクライアントへの請求額が一致しているかを月次で確認する、といった作業です。同様の考え方は、銀行の入金データと売掛金台帳を突き合わせる入金消込のような業務にも当てはまります。データソースが複数あり、「一致しているかどうか」という正解が明確に決まっている業務であれば、AIによる自動照合と相性が良い、という構造は共通しています。

当社malnaでは、広告費の立替額とクライアントへの請求額の突合を、以前は人が集計表を作って目で確認していましたが、今は自動照合の仕組みに切り替えています。ズレが発生した場合はその箇所だけが自動で抽出され、経理担当者はズレた箇所の原因確認と対応に集中できるようになりました。全件を一から目視で確認する必要がなくなった、というのが最も大きな変化です。

経費精算・支払処理の一次チェック

経費精算の申請内容が社内規程に沿っているか(上限金額を超えていないか、必要な添付書類が揃っているか等)を一次チェックし、規程通りであれば次の承認フローに進め、規程外であれば差し戻す。こうした判断もAIに一次対応させやすい業務のひとつです。最終的な承認権限は人に残すべきだという考え方は、請求書処理の場合と変わりません。

電子帳簿保存法・インボイス制度への言及について

経理業務のAI活用を語る上で、電子帳簿保存法やインボイス制度に触れないわけにはいきません。ただし、この分野は制度の詳細な要件を誤って伝えることのリスクが大きいため、本記事では確認できた一次情報の範囲でのみ触れます。

電子帳簿保存法では、取引先から受け取った請求書や領収書などをスキャナで保存する際の要件として、読み取り時の解像度など画質に関する基準が定められています(国税庁「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】」参照)。またインボイス制度(適格請求書等保存方式)では、事業者が発行する請求書等に、登録番号や適用税率、消費税額等といった記載事項を満たすことが求められています(国税庁「インボイス制度について」参照)。

AIによる請求書の読み取り・仕訳の下書き作成は、これらの制度が求める保存要件・記載事項そのものを自動で保証するものではありません。読み取ったデータが要件を満たした形で保存されているか、記載事項が揃っているかは、別途会計システムや保存要件に沿った運用で確認する必要があります。制度の詳細な要件や自社の運用が適法かどうかの判断は、税理士など専門家に確認することを強くおすすめします。

経理AI活用チェックリスト(全10項目)

経理業務でAI活用を検討する際に確認したい項目です。

  • [ ] E-1. 対象業務のフォーマット(請求書・領収書等)が概ね決まっているか
  • [ ] E-2. AIが作った下書きを人が確認・確定する工程を設計したか
  • [ ] E-3. 読み取り誤りが起きた場合の修正フローを決めたか
  • [ ] E-4. 月次照合など「突き合わせ」業務の対象データソースを特定したか
  • [ ] E-5. 照合結果のズレを検知した際の対応者・対応フローを決めたか
  • [ ] E-6. 経費精算の一次チェック基準(規程)が明文化されているか
  • [ ] E-7. 最終承認権限を人に残す設計になっているか
  • [ ] E-8. 電子帳簿保存法・インボイス制度の要件確認を税理士等の専門家に依頼したか
  • ポイント:AIによる読み取り・下書き作成は保存要件・記載事項を自動保証しない
  • [ ] E-9. 財務・契約等の未公開情報をAIに入力する可否を社内ガイドラインで定めたか(後述)
  • [ ] E-10. 会計ソフト・ツールの選定は業務再設計の検討後に行うか(ツール比較から入らない)

人事業務でのAI活用

人事は経理と比べると、AI活用の実務がまだ広がりきっていない領域だと当社は捉えています。特定の検索クエリを見ても、経理向けの話題より人事向けの話題の方が少ないのが現状です。だからこそ、定型部分から着実に始める価値があると考えています。

問い合わせ対応の一次窓口

人事には、「有給休暇の残数を知りたい」「育児休業の申請方法を知りたい」といった、社内規程やマニュアルを見れば答えが決まっている問い合わせが多く寄せられます。こうした問い合わせに対して、社内規程・マニュアルを参照した一次回答をAIが作成し、人事担当者が確認して送る、という運用が現実的な始め方です。

規程に明確に書かれていない、あるいは個別の事情を考慮する必要がある相談は、AIの一次回答から人による対応に切り替える、という線引きを事前に決めておくことが重要です。

応募者対応・オンボーディング資料の作成

採用選考の一次対応文面の下書きや、入社後のオンボーディング資料(マニュアル・チェックリスト)の作成も、フォーマットが決まっているためAIが得意とする業務です。当社自身も、採用候補者へのメッセージ下書きを作成する際に、応募状況や候補者の特性に応じたルールをAIに参照させる運用をしています。

ただし、選考結果の合否判断そのものは、AIに判断させるべきではないと当社は考えています。あくまで「連絡文面の下書き」「資料の作成」といった作業支援に留め、評価・判断は人が行うという線引きを崩さないことが重要です。

勤怠・労務データの集計

勤怠データの集計や、労務関連の定型レポート作成も、フォーマットが決まっていればAIによる自動化がしやすい業務です。ただし、この領域は給与計算・税務判断に直結するため、集計結果の解釈や最終的な処理方法については、社会保険労務士など専門家の確認を得ることをおすすめします。

評価・配置データの整理支援

人事評価や人員配置の検討では、評価コメントの傾向を整理したり、複数部署からの異動希望・スキル情報を一覧化したりといった、判断の前段階にあるデータ整理・集計の作業が発生します。この整理作業自体は、フォーマットが決まっていればAIに任せやすい部分です。

ただし、この領域で線引きを誤ると影響が大きくなります。評価の点数や合否・異動の決定そのものをAIに行わせるべきではない、というのが当社の考えです。AIが担えるのは「評価コメントを要約する」「複数の情報を比較しやすい形に整理する」といった、人が判断するための材料を整えるところまでであり、最終的な評価・配置の決定権は必ず人(評価者・人事責任者)に残してください。評価データには従業員の氏名や評価内容といった個人情報が含まれるため、次の「導入前に必ず押さえておきたい注意点」で扱う技術的な取り扱い注意も合わせて確認する必要があります。

人事データを扱う際の注意(重要)

人事が扱うデータには、氏名・給与・評価・健康状態といった個人情報が多く含まれます。要点を先に言うと、運用ルールの整備だけでなく、利用するAIサービス側の技術的な設定確認までが必須のセットです。この点については、次の「導入前に必ず押さえておきたい注意点」で必須項目としてまとめて解説します。人事業務でAI活用を検討する際は、業務のユースケースを考える前に、必ず先にこの注意点を確認してください。

総務業務でのAI活用

総務は経理・人事に比べて業務範囲が広く、AI活用できる余地も幅広い領域です。

日程調整・社内問い合わせの下支え

会議の日程調整や、社内ドキュメントの整理・検索といった細かい業務は、総務担当者の時間を地味に奪っている業務です。当社では、スケジュールの空き時間確認や社内ドキュメントの整理といった業務を、都度AIに依頼して片付ける運用をしています。以前は人が一件ずつカレンダーを見比べて空き時間を探していた作業が、AIに確認を依頼するだけで済むようになりました。

契約書・規程類の一次整理

契約書や社内規程の内容を要約し、重要な条件(契約期間・更新条件・金額等)を一覧化する、といった一次整理も総務のAI活用として現実的なユースケースです。これは契約内容の要点を人が確認しやすくするための整理作業であり、契約の解釈や法的な妥当性の判断そのものをAIに委ねるべきではありません。契約に関する最終的な判断は、必要に応じて弁護士など専門家の確認を経る前提で運用してください。

備品管理・各種申請の一次受付

備品の発注申請、入退室管理、来客対応の一次窓口といった総務の細かい業務も、規程・フォーマットが明確であればAIによる一次対応がしやすい領域です。

総務AI活用チェックリスト(全8項目)

  • [ ] G-1. 日程調整・社内問い合わせ等の繰り返し業務を洗い出したか
  • [ ] G-2. AIに確認を依頼する業務と、人が判断する業務を分けたか
  • [ ] G-3. 契約書・規程類の一次整理と、法的な解釈判断を分けて考えているか
  • [ ] G-4. 契約に関する最終判断は専門家の確認を経る前提になっているか
  • [ ] G-5. 備品管理・各種申請の一次受付フローを明文化したか
  • [ ] G-6. 総務が扱う契約情報・機密情報の取り扱いルールを確認したか(後述)
  • [ ] G-7. 自動化の仕組みを構築する担当者(推進担当)を決めたか
  • [ ] G-8. 現場担当者が使う成果物(通知・書類・ダッシュボード)の形式を決めたか

「AIに任せる」「人が締める」の判断基準

経理・人事・総務のいずれの業務にも共通する判断基準を、表にまとめました。業務の切り分けを検討する際にご活用ください。

判断軸AIに任せやすい人が締めるべき
正解の基準規程・フォーマットで明確に決まっている個別事情の考慮や解釈が必要
影響範囲誤りがあっても後工程で修正できる誤りが金銭・法的リスクに直結する
繰り返し性同じ形式の処理を繰り返す一件ごとに条件が異なる
最終判断一次対応・下書き作成まで承認・合否判断・契約締結
扱う情報定型データ・社内規程等の参照個人情報・財務未公開情報を含む判断
バックオフィス業務(経理・人事・総務)におけるAI活用範囲を示した図
バックオフィス業務(経理・人事・総務)におけるAI活用範囲を示した図

この表の考え方は、経理の請求書処理(AIが下書き・人が確定)、人事の問い合わせ対応(AIが一次回答・人が個別相談に対応)、総務の日程調整(AIが空き時間確認・人が最終調整)まで、業務の種類が変わっても一貫して当てはまります。「何をAIに任せるか」より先に「何を人が締めるか」を決めておくことが、バックオフィスのAI活用を安全に進める上での前提だと当社は考えています。

ここまでの内容を、自社の依頼として整理してみませんか

課題が固まっていない段階でも、実務でAIを使える人材への依頼内容を一緒に整理できます。

費用感と進め方を相談する

導入前に必ず押さえておきたい注意点

バックオフィスは、経理・人事・総務のいずれも機密性の高い情報を扱う部門です。業務効率化の話に入る前に、以下の3点を必ず確認してください。

人事データ・個人情報の取り扱い

人事データには、氏名・給与・評価・健康状態といった個人情報が含まれます。AIサービスにこうしたデータを入力する際は、氏名や識別情報をマスキング・ダミー化する、あるいは個人が特定できない形に加工してから入力する、といった運用ルールをまず整えることが重要です。

ただし、こうした運用ルール・従業員のモラルだけに頼るのは十分ではありません。技術的な担保として、利用しているAIサービスが法人向けプランであるか、API利用時に入力データが学習に使われない設定(学習利用のオプトアウト)になっているか、ゼロデータリテンション(入力データを処理後に保持しない)オプションが提供されているかを確認することを強くおすすめします。

こうした設定の有無は、通常サービス提供者側が公開している「利用規約」「データ処理に関する契約条項(Data Processing Agreement等)」「セキュリティ・プライバシーに関するヘルプページ」のいずれかに明記されています。法人向け契約(Enterprise・Team向けプラン等)では個人向けの無料プランと取り扱いが異なる場合が多いため、現在契約しているプランがどちらに該当するかをまず確認し、該当する条項が見当たらない場合はサービス提供者のサポート窓口に直接問い合わせることをおすすめします。設定名や具体的な仕様はサービス提供者側の方針変更によって変わる可能性が高いため、本記事では特定の設定手順までは断定的に記載しません。

財務・契約等の未公開情報の取り扱い

経理・総務・法務が扱う情報には、決算発表前の財務数値、契約条件、M&A関連情報といった、社外に公開されていない機密性の高い情報が含まれます。上場企業の場合、こうした情報はインサイダー情報に該当しうるものです。

このような未公開情報を外部のAIサービスに入力してよいかどうかは、断定的に「安全」と言えるものではありません。判断の基準は、自社の社内ガイドライン(AIの利用可否・入力禁止情報を定めたルール)と、利用しているAIサービスのデータ取り扱いポリシー・契約プランの学習利用条項の両方を確認した上で決めるべきものです。社内に生成AIの利用ガイドラインがまだない場合は、業務のユースケースを広げる前にガイドラインの整備を先に進めることをおすすめします。ガイドラインの具体的な策定手順は生成AIの社内ガイドラインの作り方で扱っています。

税務・法務の専門領域について

本記事で紹介した電子帳簿保存法・インボイス制度・個人情報保護に関する内容は、あくまで確認できた一次情報の範囲での言及であり、法的な助言ではありません。自社の運用が制度上の要件を満たしているかどうかの最終判断は、税理士・社会保険労務士・弁護士など、各分野の専門家に確認することを必須としてください。

malnaが実際に進めた自動化の姿

ここまでの内容が「絵に描いた餅」ではないことを示すために、当社malna自身の実践を紹介します。当社は社員十数名の規模で、専任の情報システム部門はありません。それでも、Claude Codeなどのエージェント型AIツール(自律的に複数の作業を実行するAIエージェントの一種)を全社的に活用することで、バックオフィス業務のうちいくつかの部分を自動化の仕組みに置き換えています。

先ほど紹介した広告費の月次照合の自動化、日程調整・社内ドキュメント整理の下支えは、いずれも当社の実践です。ここで強調したいのは、「誰が何を操作したか」という構造です。

  • 構築する人:社内で開発・自動化の設計に明るい担当者が、Claude Codeなどのエージェント型AIツールを使って自動化の仕組みを構築する
  • 使う人:経理・総務のスタッフは、Slackに届く自動照合の結果通知や、確認済みの下書き資料といった「できあがった成果物」を日々の業務で使う

経理や総務のスタッフが自らAIツールのターミナルを開いて操作する、という運用にはしていません。専任の情報システム部門がない中小企業がAI活用を進める上で重要なのは、この「構築する人」と「使う人」を分ける発想です。全員がエンジニアである必要はなく、社内に一人でも自動化の仕組みを作れる推進担当がいれば、その成果物を現場全体で使う体制を作ることができます。

なお、社内でルール・運用を整備した経緯や試行錯誤しながら進めてきた過程については、AX(AIトランスフォーメーション)とは?DXとの違い・進め方・企業の取り組みでも紹介しています。バックオフィス特化ではありませんが、AI導入を全社で進める際の考え方の土台として参考になるはずです。

どこから始めるか

バックオフィスのAI活用を始める際は、いきなり全業務に広げるのではなく、以下の順番で進めることをおすすめします。

  1. 業務を洗い出す:経理・人事・総務それぞれで、繰り返し発生している定型業務をリストアップする
  2. 判断基準表(前段)で仕分ける:「AIに任せやすい」業務から着手する
  3. 注意点(前段)を先に確認する:扱う情報の機密性・個人情報の有無を確認し、社内ガイドラインの有無を確認する
  4. 推進担当を決める:現場のスタッフ全員がAIツールを操作する必要はない。仕組みを構築できる担当者を最低一人決める
  5. 小さく試して成果物の形を決める:Slack通知・自動生成書類・ダッシュボードなど、現場が使いやすい形式を試しながら決める
  6. 人が確認する工程を残したまま運用を広げる:AIが作った下書き・一次対応を人が確認する工程を外さずに、対象業務を広げていく

この順番で進めることで、「ツールを導入したが誰も使わない」「効率化はできたが確認漏れが増えた」といった失敗を避けやすくなります。

バックオフィス業務の自動化について確認する担当者
バックオフィス業務の自動化について確認する担当者

よくある質問

Q. バックオフィスのAI活用は、経理・人事・総務のどこから始めるべきですか?

A. 業種や組織によって最適な順番は変わりますが、当社の実感では、影響範囲が把握しやすく照合作業のように「正解」が明確な経理業務から着手するケースが多いと感じています。ただし、総務の日程調整のように、影響範囲が小さく試しやすい業務から始めるという考え方も有効です。「AIに任せやすい」業務から着手するのが基本です。

Q. 経理業務でAIに請求書処理を任せる場合、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応はAIが自動でやってくれますか?

A. いいえ。AIによる読み取り・下書き作成は、制度が求める保存要件・記載事項そのものを自動で保証するものではありません。制度対応は別途、保存要件に沿った運用や税理士への確認が必要です。

Q. 人事データをAIに扱わせるのは危険ではありませんか?

A. マスキング等の運用ルールに加えて、利用するAIサービスの法人向けプランの契約内容(学習利用のオプトアウト・ゼロデータリテンションオプションの有無)を確認することが重要です。断定的に「安全」と言えるものではなく、確認を前提とした運用が必要です。

Q. 専任の情報システム部門がない中小企業でも、バックオフィスのAI活用は進められますか?

A. 可能だと考えています。当社malna自身も専任の情報システム部門がない社員十数名の規模で、自動化の仕組みを構築できる推進担当を社内に一人置く形で進めています。全員がエンジニアである必要はありません。

Q. 人事評価にAIを使うのはどこまでなら問題ありませんか?

A. 評価コメントの要約や情報整理といった、判断の前段階の材料整理までであればAIを活用しやすい領域です。ただし、評価の点数づけや異動・合否の決定そのものをAIに行わせるべきではないと当社は考えています。最終的な決定権は必ず人に残してください。

さいごに

バックオフィスは、経理・人事・総務のいずれも「規程に沿って正確に処理する」ことが求められる業務が多く、それはAIが最も力を発揮しやすい条件と重なっています。一方で、扱う情報の機密性が高いという特徴も同時に持っているため、ユースケースを広げる前に必ず注意点を確認することが欠かせません。

当社malnaは、専任の情報システム部門を持たない中小企業でありながら、Claude Codeなどのエージェント型AIツールを全社的に活用し、バックオフィス業務の一部を自動化の仕組みに置き換えてきました。この記事で紹介した内容が、自社の規模や体制にかかわらず「まず何から始めればいいか」を考えるきっかけになれば幸いです。

「自社でも同じように進めたいが、何から手をつければいいか分からない」という方がいらっしゃいましたら、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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