コラム
MAシナリオ設計にAIを使う方法|設計例とテンプレート
MAシナリオ設計をAIで下書きし人が仕上げる進め方を、セグメント・トリガー・コンテンツの3要素と4つの手順で整理します。業種・シーン別の設計例、顧客データの扱い方、失敗パターンも解説します。
公開日:2026年8月9日
執筆・編集:malna編集部(編集方針)

「MAツールは導入したけれど、シナリオが結局テンプレートのまま」「シナリオを作ったはいいが、途中で止まっている」
MA(マーケティングオートメーション)を導入した企業から、こういったお悩みを伺うことは少なくありません。当社、malna(マルナ)にも、ツール選定の相談よりも「シナリオ設計そのものが進まない」というご相談をいただく機会が増えています。
本記事では、MAシナリオ設計の思考プロセスをAIで下書きし、人が顧客理解で仕上げるという進め方について、当社の支援現場での考え方をご紹介します。なお、本記事はシナリオ設計の考え方に絞った内容です。MAツール自体の比較・選定については「リードナーチャリングで使えるツール8選」を、メール文面そのものの作り方は「リードナーチャリングに効くメール活用ガイド」をあわせてご覧ください。
MAシナリオ設計でつまずくのは、ツールではなく「設計の思考」
「シナリオを作ってください」と言われて手が止まる理由
MAツールの操作自体は、多くの製品でそれほど難しくありません。問題は「どのリードに、どのタイミングで、何を届けるか」という設計そのものです。
セグメント(誰を対象にするか)、トリガー(何をきっかけに動かすか)、コンテンツ(何を届けるか)の組み合わせを一から考えるのは、想像以上に頭を使う作業です。組み合わせのパターンが多く、正解が一つに定まらないため、考え始めるとすぐに手が止まってしまいがちです。
さらに、シナリオ設計の前段には「何のためにこのシナリオを動かすのか」というゴール設定が必要です。ここが曖昧なまま組み始めると、配信するコンテンツの方向性も、後で振り返る評価指標もぶれてしまいます。当社では、シナリオを作り始める前に「このシナリオが成功したら、何がどう変わっているか」を一文で言えるかどうかを、最初の関門として確認しています。
「とりあえずテンプレート」で止まってしまう
多くのMAツールには、あらかじめ用意されたシナリオテンプレートがあります。当社がご支援先のMA運用を拝見する中では、このテンプレートをそのまま使い、自社の顧客像に合わせた調整をせずに運用してしまっているケースが目立ちます。
テンプレートは「型」を知るには有効ですが、業種・商材・顧客の検討期間によって最適なトリガーやコンテンツは変わります。型のまま動かしても、反応が薄いシナリオになりやすいと当社は感じています。
だからこそ、AIに「下書き」を任せる余地がある
シナリオ設計でしんどいのは、ゼロから選択肢を洗い出す部分です。ここは生成AIが比較的得意とする領域だと当社は考えています。ただし、最終的にシナリオが機能するかどうかは、顧客理解に基づいた仕上げの精度次第です。次章から、この役割分担を具体的に整理します。
MAシナリオを構成する3つの要素(セグメント・トリガー・コンテンツ)
MAシナリオは、大きく分けて次の3つの要素の組み合わせで成り立っています。「誰に・何をきっかけに・何を届けるか」という3つの問いに分解すると、設計の検討漏れが減ると当社は考えています。
| 要素 | 役割 | 具体例(要素の種類) |
|---|---|---|
| セグメント | シナリオの対象となる顧客をどう区切るか | 業種・役職・流入経路・検討フェーズなど |
| トリガー | シナリオを開始・分岐させるきっかけ | フォーム送信・資料DL・メール開封・未反応の経過日数など |
| コンテンツ | トリガーに応じて届ける情報 | メール文面・案内する資料・セミナー・架電の有無など |

既存記事「【初心者向けガイド】MAとは?」でも触れているとおり、シナリオ機能そのものはほとんどのMAツールに搭載されていますが、この3要素の組み合わせを考える部分は機能ではなく設計者の頭の中で行う作業です。基礎から確認したい方は同記事もあわせてご覧ください。
コンテンツはさらに「役割」で分けると設計しやすい
コンテンツを検討する際、当社では「何を伝えるか」だけでなく「どんな役割を持たせるか」で分類することをおすすめしています。実務上、次のような役割に整理できると考えています。
| コンテンツの役割 | ねらい | 使うタイミングの例 |
|---|---|---|
| サンクス型 | アクションへのお礼を伝え、納得感をつくる | 資料DL直後・会員登録直後 |
| 情報提供型(興味深耕) | 商品・サービスへの理解を深める | サンクスメール開封後・比較検討中 |
| リマインド型 | 期限のあるオファーや途中離脱を再周知する | 未クリック・カート放棄・申込フォーム未完了 |
| オファー型 | 割引・個別相談・見積もりなど具体的な行動を促す | 興味が高まったタイミング・比較検討の終盤 |
| 関係維持型 | 購入・成約後も接点を保つ | 既存顧客への定期情報提供 |
この役割分けは、後述のAIへの指示出しにもそのまま使えます。「このステップはリマインド型のコンテンツを3案出してほしい」のように役割を指定すると、AIの出力がぶれにくくなります。
一般的なMAツールでの実装イメージ
本記事はシナリオ設計の考え方に絞っており、ツールの比較・選定は扱いません(比較は「リードナーチャリングで使えるツール8選」を参照してください)。ただし、ここまでの3要素が実際のMAツール上でどう実装されるかのイメージを持っておくと、AIへの指示出しもしやすくなります。
呼び方はツールによって異なりますが、多くのMAツールは「トリガー条件を設定する画面」「条件に応じて分岐させる画面」「配信するコンテンツを紐づける画面」を組み合わせてシナリオを構築する点で共通しています。例えば、HubSpotでは「ワークフロー」という機能でこの一連の流れを構築します。Marketoでは「スマートキャンペーン」が、誰に・何を・いつ実行するかという条件を指定する役割を担います。SATORIのように、機能名自体が「シナリオ」であるツールもあります。Salesforce Account Engagement(旧Pardot)にも同様の自動化ビルダーが用意されています。
ツールごとの機能名や操作性の違いは、選定段階で確認すべき事項です。本記事で押さえておきたいのは、ツールが変わっても「セグメント・トリガー・コンテンツ」という設計の骨格自体は変わらないという点です。この骨格を先に固めておけば、どのツールに実装する場合でも迷いにくくなります。
AIでシナリオ設計を下書きする4つの手順
ここからが本記事の中心です。AIにシナリオの「たたき台」を作らせ、人が仕上げるという進め方を、4つの手順に分けてご紹介します。
手順に入る前に:シナリオのゴールを数値で言語化する
4つの手順を始める前に、当社が必ず確認しているのが「このシナリオで何を実現したいか」という目的です。目的が曖昧なまま設計を始めると、AIへの指示も、後述する効果測定の指標も定まりません。
- 悪い例:「もっと反応が良いシナリオにしたい」
- 良い例:「資料ダウンロード後のフォローで、個別相談への申込率を今よりも引き上げたい」
ここで挙げた数値目標はあくまで置き方の例であり、実際の数値は自社の過去実績と照らして設定してください。目的を先に決めておくことで、手順1〜3でAIに何を下書きさせるべきかの輪郭がはっきりします。
- 対象セグメントを言語化する
誰向けのシナリオかを、業種・役職・検討段階などの切り口で言葉にします。この時点では実在の顧客名やメールアドレスは一切使わず、「仮想ペルソナ」として言語化します(後述の「設計例」で例を示します)。
- トリガー候補をAIに洗い出させる
言語化したセグメントに対して「考えられるトリガーを幅広く挙げてほしい」とAIに依頼します。人がゼロから考えると数個で止まりがちなトリガー候補も、AIに洗い出させると選択肢が広がりやすくなります。
- コンテンツ・メール構成の骨子を下書きさせる
各トリガーに対して、どんな情報を届けるべきかの骨子(件名の方向性・本文の要点・CTAの候補)をAIに下書きさせます。ここではまだ「たたき台」であり、そのまま配信する完成原稿ではありません。メール文面そのものの磨き込みは「リードナーチャリングに効くメール活用ガイド」の設計手順に沿って仕上げます。
- 人が顧客理解で仕上げる
AIが出した骨子を、次のような材料と照らし合わせて修正します。
- 営業担当へのヒアリング(実際の商談でどんな質問が多いか)
- 過去に配信したメールの開封・クリック実績
- 既存顧客からよく届く問い合わせ内容
当社の支援現場では、AIが提案するトリガーや文面は「一般論としては筋が通っているが、自社の顧客の温度感とはズレている」ことが少なくありません。ここを人が仕上げないまま配信してしまうのが、後述の失敗パターンの典型です。
AIに任せる範囲と人が仕上げる範囲
| 工程 | AIに任せやすい範囲 | 人が仕上げるべき範囲 |
|---|---|---|
| ゴール設定 | 目標の言語化の下書き・言い回しの整理 | 実際の数値目標の決定(自社実績との照合) |
| セグメント設計 | 切り口の洗い出し・分類案の提示 | 自社データと照らした最終的な線引き |
| トリガー設計 | 候補の幅出し | 自社の顧客行動と合っているかの検証 |
| コンテンツ設計 | 文面・構成の骨子 | 顧客の温度感に合わせた表現の調整、事実確認 |
| 効果測定 | 指標案の提示、改善案の幅出し | 実際の数値の解釈、改善判断 |
設計例:業種・シーン別のシナリオパターン(仮想ペルソナ)
具体的なイメージを持っていただくため、複数のシーンでのシナリオ例を示します。以下はすべて架空の企業・架空の人物によるダミーデータです。実在する顧客の情報ではありません。
仮想ペルソナと基本シナリオ(問い合わせ後フォロー)
- 企業名:架空の製造業A社(従業員規模・業種は例示のための設定)
- 担当者:仮名「担当者Xさん」、資材調達の検討窓口という設定
- 状況:複数社の見積もりを比較している段階で、資料請求フォームから見積もり資料をダウンロードした、という架空の行動ログ
- 悩み(想定):候補を絞り込みたいが決め手に欠けており、次にどんな情報が出てくるかで比較検討の優先順位を決めたい、という架空の心理状態
| ステップ | トリガー(例) | 届けるコンテンツ(例) | ねらい |
|---|---|---|---|
| Step1 | 資料ダウンロード(フォーム送信) | サンクスメール+関連する導入事例へのリンク | 検討の熱が高いうちに接点を作る |
| Step2 | Step1メール開封から3営業日経過・未クリック | 補足情報(よくある質問)を届けるメール | 関心の再喚起 |
| Step3 | 事例ページをクリック | 個別相談・見積もり案内 | 商談機会の創出 |
| Step4 | Step1から一定期間、反応なし | 頻度を落とした情報提供(月次程度) | 関係を切らずに温度感を維持 |
この例のように、AIには「Step2で反応がなかった場合の代替コンテンツ案を3つ出してほしい」といった形で、分岐部分の選択肢出しを依頼するのが実務的です。実際の運用では、ここに自社の商材・検討期間に合わせた調整が必要になります。
BtoBのシーン別パターン(ダミーデータ)
BtoBでは、問い合わせ後フォロー以外にも、次のようなシーンでシナリオが組まれることが多いと当社は考えています。いずれも架空の設定です。
パターンA:ウェビナー参加後のフォロー(架空の情報システム企業B社の例)
| ステップ | トリガー(例) | 届けるコンテンツ(例) |
|---|---|---|
| Step1 | ウェビナー申込 | 開催前日のリマインドメール |
| Step2 | 当日の参加・欠席 | 参加者には資料共有+お礼、欠席者には録画リンク |
| Step3 | 録画の視聴有無 | 視聴者には関連事例、未視聴者には再案内 |
| Step4 | 視聴後の関連ページ閲覧 | 個別相談の案内 |
パターンB:無料トライアル後のフォロー(架空のSaaS企業C社の例)
トライアル開始からの経過日数を軸に、開始直後は使い方ガイド、数日後には活用事例、期限が近づいた段階で本申込のメリットを案内する、というように段階を分けて設計します。トライアル終了時点で本申込に至らなかった相手には、営業からのヒアリング架電につなげる、という設計も一般的です。
パターンC:展示会名刺交換後のフォロー(架空の設備メーカーD社の例)
名刺交換の際に得られた情報をもとに関心度の目安をつけ、関心度が高いと見られる相手には営業担当が直接連絡し、それ以外の相手にはテンプレート化した情報提供メールを送る、というように対応を分けます。スピード(名刺交換から何日以内に連絡するか)が成果を左右しやすいシーンです。
BtoCのシーン別パターン(ダミーデータ)
BtoCでは、購買データや会員データと連動したシナリオが中心になります。こちらも架空の設定です。
パターンD:初回購入後のリピート促進(架空の通販企業E社の例)
初回購入への感謝を伝えるメールから始め、商品の使い方やメンテナンス情報で満足度を高め、その後に関連商品の案内へつなげる、という順序で設計します。売り込みの色が強くなりすぎると離脱につながりやすいため、情報提供を厚めにする設計が一般的です。
パターンE:カート放棄後のリマインド(架空のECサイトF社の例)
商品をカートに入れたまま購入を完了しなかった相手に対し、時間を空けて複数回リマインドを送るシナリオです。早いタイミングでの1通目の送信と、割引などのオファーを組み合わせるかどうかの判断が重要になります。
パターンF:休眠顧客の掘り起こし
一定期間購入や反応がない顧客に対し、通常より頻度を落とした情報提供を続け、反応があった時点で通常のシナリオに戻す、という設計です。当社では、休眠顧客向けのシナリオは「頻繁に接触して関係を切る」よりも「細く長く接点を残す」ことを優先すべきだと考えています。
これらのパターンはいずれも骨格の例であり、そのまま流用できるものではありません。AIに「自社の業種・商材ならこのパターンをどう変えるべきか」を相談しながら、自社向けに作り替えていく使い方が実務的です。
顧客データをAIに渡すときに必ず守ること
シナリオ設計をAIに手伝ってもらう際、最も注意すべきなのがこの章の内容です。当社では以下を必須の考え方としています。
- 実在の顧客データではなく、仮想ペルソナ・ダミーデータで設計する。 前述の例のように、企業名・氏名・行動ログはすべて架空のものに置き換えてからAIに渡します。実際の顧客リストや行動データをそのままプロンプトに貼り付けることはしません。
- 個人が特定できる情報をAIサービスに入力しない。 氏名・メールアドレス・電話番号・企業名など、個人や取引先が特定できる情報は、マスキングまたはダミー値への置換をしてから扱います。
- 利用するAIサービスのポリシーを確認する。 学習利用・データ保持の扱いはサービスによって異なり、変更されることもあります。断定的な安全宣言はせず、利用の都度、各サービスの最新の公式ポリシーを確認することをおすすめします。
「シナリオの型を考えてもらうだけだから大丈夫だろう」と、つい実データの一部を貼り付けてしまいたくなる場面もあるかと思います。ですが、シナリオ設計の下書き段階であれば、架空のペルソナで十分に検討を進められます。まずはダミーデータで骨子を作り、実データとの突き合わせは自社の環境内で行う、という順序を徹底していただくことをおすすめします。
AI任せにしてはいけない部分・失敗パターン
AIにシナリオの下書きを任せることには利点がある一方で、支援現場でよく目にする失敗パターンもあります。
① 骨子をそのまま配信してしまう
AIが出した文面・分岐案を、人の目でのファクトチェックや温度感の調整をせずにそのまま配信してしまうケースです。AIの出力は「たたき台」であり、完成原稿ではありません。
② スコアリング基準を検証せずに流用する
「このトリガーで動かせば良さそうだ」という提案を、自社の過去データと照らし合わせずに採用してしまうケースです。トリガーの妥当性は、自社の顧客が実際にどう動くかを見て初めて判断できるものだと当社は考えています。
③ 反応データを見ずに放置する
シナリオを一度組んだら終わり、と考えてしまうケースです。配信後の開封・クリック・その後の商談化状況を見て、AIに「反応が薄かった部分の改善案を出してほしい」と改めて相談する、という運用の繰り返しが必要になります。
④ 1つのシナリオに情報を詰め込みすぎる
AIに「もっと情報を届けたい」と相談すると、盛り込める要素を次々と提案してくることがあります。これをそのまま採用すると、1通のメールに複数のCTAが並んだり、配信頻度が上がりすぎたりして、かえって離脱を招きやすくなります。AIには幅出しをさせつつ、1ステップにつき伝えることを1つに絞るかどうかは人が判断すべき領域です。
⑤ 全チャネルに同じ内容を配信してしまう
メール・SNS・営業からの架電など複数のチャネルを持つ企業では、シナリオごとに配信内容がバラバラに設計され、同じ相手に似た内容が何度も届いてしまうことがあります。AIにシナリオを下書きさせる際は、他のチャネルで何を配信しているかという前提情報も併せて伝え、重複を避ける設計にする必要があります。
これら5つは、当社が複数のご支援先のMA運用を拝見してきた中で共通して見られる傾向であり、特定の一社の事例ではありません。
効果測定とシナリオ改善のPDCAサイクル
シナリオは配信して終わりではなく、反応を見て改善を繰り返すことで初めて成果につながります。この章では、AIを使った改善サイクルの回し方を整理します。
PDCAの4段階とAIの関わり方
| 段階 | やること | AIの使いどころ |
|---|---|---|
| Plan(計画) | 前述のとおり、目的・セグメント・トリガー・コンテンツを設計する | 選択肢の幅出し |
| Do(実行) | MAツール上にシナリオを設定し、配信を開始する | (AIの出番は限定的。実装はツール操作) |
| Check(測定・分析) | 開封率・クリック率・その後の商談化率などを確認する | 数値の傾向を要約させる、気になる箇所を言語化させる |
| Action(改善) | ボトルネックとなっている箇所の文面・タイミング・分岐条件を見直す | 改善案の幅出し、代替パターンの提案 |
フェーズ別に見ておきたい指標の例
シナリオのどの段階を評価するかによって、見るべき指標は変わります。目的に応じて、次のように整理しておくと数値の解釈がしやすくなると当社は考えています。
- 接点形成の段階:メール開封率、クリック率、特定ページの閲覧率
- 興味・関心の段階:スコアリングの到達率、資料の追加ダウンロード有無
- 成果貢献の段階:個別相談・商談への申込率、その後の受注率
いずれの数値も、自社の過去実績や業界内での相場観と比較しなければ「良い・悪い」の判断はできません。本記事では特定の目標値や業界平均値は示していません。数値の解釈は、自社のデータに基づいて行ってください。
Check・Actionの場面でAIをどう使うか
Check・Actionの段階では、AIに数値そのものの結論を出させるのではなく、「この結果からどんな仮説が立てられるか」を洗い出させる使い方が実務的です。例えば、次のような依頼の仕方が考えられます。
- 「Step2の開封率がStep1より大きく下がっている場合、考えられる原因を挙げてほしい」
- 「原因の仮説ごとに、検証するための具体的な方法を提案してほしい」
- 「クリック率が高いのに個別相談への申込につながっていない場合、コンテンツの改善案を3つ出してほしい」
AIが出す仮説はあくまで一般論のたたき台です。実際にどの仮説が当てはまるかは、営業担当への確認や、既存顧客への簡単なヒアリングなど、自社内の一次情報で検証する必要があります。この検証を省いて改善案をそのまま反映してしまうと、前述の失敗パターンに陥りやすくなります。
シナリオ設計、何から手をつけるべきか
これからMAシナリオ設計に取り組む場合、当社では次の順序をおすすめしています。
- 既存の問い合わせ・資料請求後のフォローから着手する(新規のシナリオより、すでにトリガーが発生している導線の方が設計しやすいため)
- セグメントは最初から細かく分けすぎない(まずは大きな区分で1〜2本動かし、反応を見てから分岐を増やす)
- AIには「幅出し」の役割に限定して依頼する(前述の手順1〜3の範囲にとどめ、最終判断は人が行う)
- 反応データが一定たまった段階で見直す(配信して終わりにせず、前述の改善サイクルに組み込む)

よくある質問
Q1. MAシナリオとは何ですか。 A. MAツール上で、対象となる顧客(セグメント)に対し、特定のきっかけ(トリガー)が発生した際に、あらかじめ設計したコンテンツを自動的に届ける一連の流れのことです。
Q2. MAシナリオ設計にAIをどこまで使えますか。 A. トリガー候補の洗い出しや、コンテンツ・メール構成の骨子を下書きさせる部分でAIは力を発揮しやすいと当社は考えています。ただし、自社の顧客データと照らした最終判断や、文面のファクトチェックは人が行う必要があります。
Q3. シナリオ設計にはどのMAツールを選べばよいですか。 A. 本記事はシナリオ設計の考え方に絞っており、ツールの比較・選定は扱っていません。「リードナーチャリングで使えるツール8選」をご参照ください。
Q4. 顧客データをAIに渡しても大丈夫ですか。 A. 実在の顧客データをそのまま渡すのはおすすめしません。仮想ペルソナ・ダミーデータへの置き換えと、個人が特定できる情報を入力しないことを徹底してください。詳しくは前述の「顧客データをAIに渡すときに必ず守ること」をご覧ください。
Q5. シナリオのテンプレートはありますか。 A. 前述の「設計例」に、問い合わせ後フォローを中心に、ウェビナー参加後・無料トライアル後・展示会後・初回購入後・カート放棄後といった業種・シーン別のシナリオ設計例(ダミーデータ)を掲載しています。自社の商材・検討期間に合わせて、セグメント・トリガー・コンテンツの組み合わせを調整してご活用ください。
Q6. シナリオがうまく機能しているかは何を見れば分かりますか。 A. 見るべき指標は目的によって変わります。接点形成の段階なら開封率・クリック率、興味・関心の段階ならスコアリングの到達率、成果貢献の段階なら個別相談への申込率や受注率、というように分けて確認することをおすすめします。詳しくは前述の「効果測定とシナリオ改善のPDCAサイクル」をご覧ください。
Q7. シナリオを作ったあと、どのくらいの頻度で見直すべきですか。 A. 明確な正解はありませんが、当社では「反応データが一定たまった段階」を見直しの目安にすることをおすすめしています。配信数が少ないうちに頻繁に作り直すと、何が原因で数値が変わったのかが分からなくなるためです。
さいごに
MAシナリオ設計がうまく進まない企業の多くは、ツールの操作ではなく「設計の思考」そのものでつまずいていると当社は感じています。AIにトリガーやコンテンツの選択肢を幅出しさせ、人が顧客理解で仕上げるという役割分担にすれば、ゼロから考える負荷はかなり軽くなるはずです。
一方で、顧客データの扱いには注意が必要です。実データではなく仮想ペルソナで下書きを進め、個人が特定できる情報をAIサービスに入力しないという原則は、必ず徹底していただきたいと思います。また、シナリオは作って終わりではなく、効果測定・改善のサイクルをどれだけ回せるかで、成果が大きく変わってきます。
MAシナリオ設計や、AIを活用したマーケティング業務の設計についてお困りの方は、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。
※本記事に掲載しているペルソナ・企業名・行動データはすべて説明のための架空の例であり、実在の人物・企業とは一切関係ありません。 ※本記事で言及するAIサービス・MAツールの学習利用・データ保持・機能仕様等は変更される可能性があるため、実際にご利用の際は各サービスの最新の公式情報をご確認ください。
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