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コラム

労務のAI活用|勤怠・給与計算・労務相談はどこまで任せられるか

労務(勤怠管理・給与計算・労務相談)のAI活用を、業務別に「AIに任せる」「人が締める」の線引きで整理します。給与計算クラウド内のAI機能と外部生成AIの使い分け、機微情報の取り扱いまで解説します。

公開日:2026年8月13日

執筆・編集:malna編集部(編集方針

労務のAI活用|勤怠・給与計算・労務相談はどこまで任せられるか

労務にAI(人工知能)を活用するとは、勤怠管理・給与計算・社内からの労務相談といった業務のうち、規程・法令に沿って正解が決まっている計算・チェック・一次回答の部分をAIに任せ、法的な判断や個別事情への対応は人(必要に応じて社会保険労務士などの専門家)が担うという業務の再設計を指します。労務は「人事労務」「労務管理」と呼ばれることもありますが、いずれも指している業務範囲は近いものです。この記事では、勤怠管理・給与計算・労務相談という3つの業務それぞれのAI活用の範囲と、機微情報を扱う際に必ず確認しておきたい注意点を、当社malnaの見解として整理します。

なお、経理・総務も含めたバックオフィス全体のAI活用についてはバックオフィスのAI活用で、総務部門のAI導入の進め方については総務のAI導入で扱っています。就業規則の見直しや労務トラブルへの対応といった法的な論点そのものは本記事のスコープ外とし、必要に応じて専門家に確認する前提で読み進めていただければと思います。

労務業務にAIが向いている理由

労務業務には、次のような特徴があります。

  • 給与計算・勤怠集計のように、計算結果の正解が就業規則・法令・契約であらかじめ決まっている
  • 有給休暇の残数確認や育児休業の申請方法のように、社内規程やマニュアルを参照すれば答えが決まる問い合わせが多い
  • 最終的に人事担当者や社会保険労務士が内容を確認・承認する工程が、もともと業務プロセスに組み込まれている

この3つの特徴は、AIに業務を任せる際の前提条件と重なる部分が多いと当社は考えています。一方で、労務が扱う情報には給与・マイナンバー・健康情報といった機微性の高い個人情報が多く含まれるため、効率化の話に入る前に、何をAIに入力してよく、何を入力してはいけないのかを先に決めておく必要があります。この点は記事の後半で必須の内容として扱います。

労務・勤怠・給与計算のAI活用範囲を示した図
労務・勤怠・給与計算のAI活用範囲を示した図

勤怠管理でのAI活用|打刻チェックと36協定アラート

勤怠管理は、労務業務の中でも比較的AIとの相性が良い領域だと当社は考えています。打刻データに欠落や矛盾がないかを自動でチェックし、異常があった箇所だけを人が確認する、という運用への切り替えが現実的な始め方です。

もう一つ実務上のニーズが大きいのが、時間外労働の上限に近づいている従業員をアラートで知らせる仕組みです。労働基準法第36条に基づく労使協定(いわゆる36協定)では、時間外労働・休日労働について労使で協定を結ぶことが定められています。ただし、上限となる時間数や特別条項の適用範囲は法改正の影響を受けやすく、企業ごとの協定内容によっても異なるため、本記事では具体的な時間数の断定は避けます。勤怠データの集計・アラート表示まではAIやシステムに任せられる領域ですが、上限に近づいた際の対応方針や、協定の内容そのものの解釈は、社会保険労務士など専門家への確認を推奨します。

打刻データの異常検知で実際に見るべき項目

勤怠管理システムに搭載されたAI機能や自動チェックのロジックが検知する異常には、次のようなパターンがあります。

  • 出勤・退勤の打刻漏れ、または打刻の重複
  • 休憩時間の未取得や、休憩時間として記録された時間の極端な短さ
  • 深夜労働や法定休日労働の発生
  • 前日の退勤から当日の出勤までの間隔(勤務間インターバル)が極端に短いケース
  • テレワーク時の申請内容と、実際の打刻・稼働ログとの不整合

こうした項目をAIやシステムが自動でリストアップし、労務担当者は異常が出た人だけを確認するという運用に切り替えることで、全従業員分の打刻を毎月すべて目視で確認する作業から、例外対応中心の作業に変えられると当社は考えています。

36協定アラートの運用ステップ

36協定のアラートを実務に組み込む際は、次のようなステップで進めるのが現実的です。

  1. 従業員ごとに、協定上の上限に対してどれだけ時間外労働の余地が残っているかを月初時点で可視化する
  2. 残りの時間が一定の目安を下回った従業員を、アラートとしてリストアップする
  3. アラートが出た従業員とその上長に通知する
  4. 業務量の調整や人員の再配分といった対応方針は、上長や労務担当者が判断する
  5. 協定の適用範囲や特別条項の解釈そのものは、社会保険労務士などの専門家に確認する

ここで重要なのは、1〜2の「集計・アラート表示」はAIやシステムに任せられる一方、3〜5の「対応方針の決定」と「協定内容の解釈」は人が担うという役割分担です。この線引きを崩さないことが、勤怠管理でAIを活用する際の前提になると当社は考えています。

給与計算でのAI活用|最も任せやすく、最も慎重になるべき業務

給与計算は、労務業務の中で最もAI活用のニーズが大きい領域です。計算そのものは規程・法令に基づく定型処理である一方、給与データという最も機微性の高い個人情報を扱うため、「どこまで任せられるか」を業務の型ごとに分けて考える必要があります。

給与計算クラウド内のAI機能でできること

給与計算クラウドの多くは、勤怠データと給与マスタの突き合わせ、異常値(前月比で大きく変動した項目等)の自動検出、仕訳データの自動連携といった機能にAIを組み込みつつあります。こうした機能は、契約している給与計算サービスの中でデータが処理される仕組みであり、人が一件ずつ目で確認していた突き合わせ作業を、AIが検出した差分だけを確認する作業に置き換えるという位置づけです。

外部の生成AI(ChatGPT等)に給与データを直接入力することとの違い

一方で、給与計算クラウド内のAI機能とは別に、担当者が個人の判断でChatGPTのような外部の汎用生成AIに給与データをコピーして質問する、という使い方が起こりがちです。この二つは、データの流れがまったく異なるため、区別して考える必要があります。

処理の主体具体例データの流れ確認すべき点
自社の給与計算システム内のAI機能給与計算クラウドの異常値検知・仕訳連携等契約している同一サービスの中で処理される利用しているプランの契約条件・データ処理に関する条項を確認する
外部の生成AI(ChatGPT等)への直接入力給与データを貼り付けて計算方法や文面作成をAIに相談する契約している給与計算サービスとは別の外部サービスに入力データが渡る個人が特定できる情報はマスキング・ダミー化してから入力する。利用契約が法人向けプランかどうか、入力データが学習に使われない設定になっているかを確認する

給与計算クラウド内のAI機能を使う場合であっても、そのサービスの契約プランがどこまでデータを保護する設定になっているかは、後述する機微情報の取り扱いの章で必ず確認してください。「同じサービス内だから安全」と決めつけず、契約条件を確認する姿勢は両方のケースで変わりません。

具体的な使い方と、人が締める工程

給与計算業務でAIを使う現実的な範囲としては、勤怠データと給与マスタの突き合わせチェック、給与に関する社内からの定型的な問い合わせへの一次回答の下書き、年末調整に必要な書類が揃っているかの一次チェックといった業務が挙げられます。いずれの場合も、AIが出した結果をそのまま確定・送付するのではなく、人が最終確認をしてから確定するという工程を残すことが欠かせません。給与の金額誤りは従業員の生活に直結するため、経理業務における請求書処理以上に、確認工程を崩さない運用が求められると当社は考えています。

年末調整・随時改定での一次チェックの具体例

給与計算業務の中でも、年末調整や給与改定(昇給・降給、雇用形態の変更等)のタイミングは、AIによる一次チェックのニーズが特に大きい場面です。

年末調整では、保険料控除証明書や扶養関係の書類が従業員から提出されますが、AIが担える範囲は、提出済みの書類と未提出者の一覧化、証明書に記載された金額と給与システムへの入力値との突き合わせ、扶養家族の人数に変更がありそうな箇所の検出といった一次チェックにとどまります。控除額の最終計算や、扶養の適用条件を満たしているかどうかの判断そのものは、担当者または社会保険労務士が確認して確定させる工程を残す必要があると当社は考えています。

昇給・降給や、時給制から月給制への変更のように給与体系そのものが変わるタイミングでは、給与マスタへの反映漏れが起きやすくなります。この場面でも、「反映すべき対象者のリスト」と「実際に更新された給与マスタの履歴」をAIに突き合わせさせ、反映漏れを検出させるという使い方が考えられます。ただし、給与マスタの実際の書き換えは、担当者が内容を確認したうえで行うべき作業です。

退職金・特別なケースの計算は人が担う

勤続年数や退職理由によって計算方法が変わる退職金、休職・復職を挟んだ場合の給与計算、複数の給与体系が混在する従業員など、定型処理から外れるケースは、AIによる自動処理の対象から意図的に外すという判断も必要です。給与計算クラウド内のAI機能は、あらかじめ定義されたロジックに沿った定型処理を前提に作られていることが多く、こうした個別性の高いケースは、担当者が手動で確認・計算する工程を残しておくことが安全だと当社は考えています。

給与計算のAI活用を確認する労務担当者
給与計算のAI活用を確認する労務担当者

労務相談・社内問い合わせの一次対応

労務担当者には、「有給休暇の残数を知りたい」「育児休業の申請方法を知りたい」といった、社内規程やマニュアルを参照すれば答えが決まっている問い合わせが日常的に寄せられます。こうした問い合わせに対して、社内規程を参照した一次回答の下書きをAIが作成し、担当者が確認して送るという運用は、比較的始めやすい労務相談のAI活用です。

一方で、規程に明確に書かれていない事情や、個別の家庭事情・健康状態を考慮する必要がある相談は、AIの一次回答から人による対応に切り替えるという線引きを事前に決めておくことが重要です。労務相談は内容によって法的な判断が絡む場合があるため、この切り替えの基準を曖昧にしないことが、労務相談でAIを使う上で最も大切な設計だと当社は考えています。

一次回答の下書きをどう作るか

労務相談の一次回答をAIに任せる場合、現実的な始め方は、社内規程やこれまでの問い合わせ対応の記録をAIに参照させ、その範囲内で回答の下書きを作らせるという方法です。外部の一般的な知識だけで回答させるのではなく、自社の就業規則・育児介護休業規程・過去のFAQといった一次情報をもとに下書きを作らせることで、規程と矛盾する回答が生まれるリスクを減らせると当社は考えています。

例えば、「有給休暇の残数を知りたい」という問い合わせであれば、勤怠システム上の残数データと就業規則の該当条項をAIに渡し、回答文の下書きを作成させる、という流れが考えられます。担当者は、下書きの内容が実際のデータ・規程と一致しているかを確認したうえで送付します。

一次回答で足りる相談と、人に切り替えるべき相談

相談の種類具体例対応の目安
規程・データを参照すれば答えが決まる有給休暇の残数、申請書の提出先、必要書類の一覧AIの一次回答で対応できることが多い
規程に選択の余地がある時短勤務の対象条件、休職からの復職手続きAIの一次回答を下書きとし、担当者が個別事情を確認してから送付する
個別事情や心情への配慮が必要家庭事情を踏まえた勤務時間の相談、健康状態に関わる相談、ハラスメントに関する相談一次回答から人による対応に切り替える

この表のように、質問の内容によって「AIの下書きで足りる」「AIの下書きを人が調整する」「最初から人が対応する」の3段階を分けて考えることが、労務相談でAIを使う際の実務的な線引きになると当社は考えています。

入退社手続き・保険手続きの判断支援

入社・退社に伴う社会保険・雇用保険の手続き、必要書類の洗い出しといった業務も、フォーマットや手順があらかじめ決まっているため、チェックリスト化やAIによる一次整理がしやすい領域です。「この従業員の場合、どの手続きが必要か」をAIに一覧化させ、担当者が実際の申請・提出を行うという役割分担が現実的な始め方です。

ただし、手続きが必要かどうかの最終的な判断(適用条件に該当するかどうかの解釈等)は、ケースによって個別性が高く、誤った判断をした場合の影響も大きいため、AIに判断そのものを委ねるべきではないと当社は考えています。AIが担えるのは、手続きの洗い出しと進捗管理までです。

法改正への対応|情報収集の効率化と、運用変更の判断を分ける

労働関連の法令・制度は改正の頻度が高く、労務担当者には「今回の改正が自社にどう関係するか」を都度確認する負担があります。この負担についても、AIに任せられる部分と、人が判断すべき部分を分けて考えることができると当社は考えています。

AIが担いやすいのは、公表された改正情報の要約や、就業規則・給与規程・勤怠ルールのうち、どの項目に影響が及びそうかを洗い出す作業です。例えば、「今回の改正で、育児・介護休業に関する規程のどの項目が関係しそうか」を一覧化させ、担当者が確認する範囲を絞り込む、という使い方が考えられます。

一方で、改正内容の解釈、規程の改定文言の作成、施行日に合わせた運用の切り替えといった判断は、AIに委ねるべきではないと当社は考えています。改正情報の要約自体に誤りが含まれる可能性もゼロではないため、AIが要約した内容をそのまま社内規程の改定に使うのではなく、必ず一次情報(官公庁が公表する資料等)と社会保険労務士などの専門家の確認を経てから、規程・運用を変更するという工程を残すことが欠かせません。

「社労士の仕事はAIに代替されるのか」という論点

労務のAI活用を調べていると、「社会保険労務士(社労士)の仕事はAIに代替されるのか」という論点に行き着くことがあります。この論点について深く掘り下げることは本記事の目的ではありませんが、一つの見解として述べておきます。

給与計算や定型的な書類作成のように、規程・法令に基づいて機械的に処理できる業務は、AI活用によって効率化が進んでいく可能性があると当社は考えています。一方で、個別の事情を踏まえた法解釈、労使間の調整、行政への代理申請権限といった業務は、専門家である社労士に求められる役割として残り続けると当社は考えています。AI活用が進むかどうかにかかわらず、法的な判断が絡む場面では専門家への確認を省略しないことが重要です。

ここまでの内容を、自社の依頼として整理してみませんか

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費用感と進め方を相談する

給与・マイナンバー等の機微情報を扱う際の注意点(必須)

労務が扱う情報には、氏名・給与・個人番号(マイナンバー)・健康状態といった、個人情報保護法上の要配慮個人情報を含みうる機微性の高い情報が多く含まれます。個人番号の取り扱いについては、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号利用法、いわゆるマイナンバー法)でも利用目的等が定められています。こうした情報をAIサービスに入力する際は、以下の点を必ず確認してください。

  • [ ] 給与額・個人番号・健康情報など、個人が特定できる情報をマスキング・ダミー化してから入力する運用になっているか
  • [ ] 給与計算クラウド内のAI機能と、外部の生成AI(ChatGPT等)への直接入力を分けて考え、どちらの経路で処理されるデータかを担当者が理解しているか
  • [ ] 利用しているAIサービスが法人向けプランであり、入力データが学習に使われない設定(学習利用のオプトアウト)になっているかを確認したか
  • [ ] ゼロデータリテンション(入力データを処理後に保持しない)オプションが提供されているかを確認したか
  • [ ] 上記の設定の有無は、サービス提供者の利用規約・データ処理に関する契約条項・セキュリティに関するヘルプページのいずれかで確認できたか
  • [ ] 該当する条項が見当たらない場合、サービス提供者のサポート窓口に直接問い合わせたか

こうした設定の名称や具体的な仕様は、サービス提供者側の方針変更によって変わる可能性が高いため、本記事では特定の設定手順までは断定的に記載しません。契約しているプランが法人向け(Enterprise・Team向け等)か個人向けかによって取り扱いが異なる場合が多いため、まず自社がどちらのプランを契約しているかを確認することをおすすめします。

「AIに任せる」「人が締める」の判断基準

勤怠管理・給与計算・労務相談・手続き支援のいずれの業務にも共通する判断基準を、表にまとめました。

判断軸AIに任せやすい人(必要に応じ専門家)が締めるべき
正解の基準就業規則・給与マスタ・法令で明確に決まっている個別事情の考慮や法解釈が必要
影響範囲誤りがあっても後工程で修正できる誤りが金銭・法的リスクに直結する
繰り返し性同じ形式の計算・チェックを繰り返す一件ごとに事情が異なる
最終判断一次チェック・下書き作成・アラート表示まで確定・承認・行政への申請・協定内容の解釈
扱う情報マスキング済みのデータ・社内規程等の参照給与・マイナンバー・健康情報等の機微情報を含む判断

この表の考え方は、勤怠管理の打刻チェック(AIが検出・人が確認)、給与計算の突き合わせ(AIが差分検出・人が確定)、労務相談の一次回答(AIが下書き・人が個別対応に切り替え)まで、業務の種類が変わっても一貫して当てはまります。

導入前に確認しておきたい法令・専門家確認のポイント

本記事で言及した労働基準法(36協定)、個人情報保護法、番号利用法(マイナンバー法)に関する内容は、あくまで確認できた範囲での言及であり、法的な助言ではありません。具体的な協定内容の解釈、上限規制の適用範囲、個人情報の取り扱いが自社の運用で適法かどうかの最終判断は、社会保険労務士など専門家への確認を推奨します。制度の詳細や罰則規定に関する断定的な記載は本記事では行いません。

どこから始めるか

労務のAI活用を始める際は、いきなり給与計算全体をAI化するのではなく、以下の順番で進めることをおすすめします。

  1. 業務を洗い出す:勤怠管理・給与計算・労務相談・手続き支援のそれぞれで、繰り返し発生している定型業務をリストアップする
  2. 機微情報の取り扱いルールを先に決める:前段のチェックリストを使い、マスキング運用と契約プランの確認を済ませる
  3. 人が締める工程を明確にする:判断基準の表を使い、どこまでAI、どこから人(または社労士)かを決める
  4. 小さく始める:勤怠データの自動チェックや、社内問い合わせの一次回答の下書きなど、影響範囲が小さい業務から試す
  5. 確認工程を残したまま範囲を広げる:給与計算のように影響の大きい業務は、確認工程を外さずに慎重に対象を広げていく

当社malnaも社員十数名規模で、専任の労務担当や情報システム部門を置かない体制で運用しています。規模の小さい会社であっても、規程に基づく問い合わせへの一次回答のように、体制を大きく変えずに始められる部分はあると当社は考えています。一方で、給与計算や36協定に関わる判断のように影響の大きい業務ほど、社内の運用ルール整備と専門家への確認を先に済ませておくことが欠かせません。

よくある質問

Q. 労務のAI活用は、勤怠管理・給与計算・労務相談のどこから始めるべきですか?

A. 影響範囲が小さく、確認しやすい業務から始めることをおすすめします。勤怠データの自動チェックや、社内からの定型的な問い合わせへの一次回答の下書きは、比較的始めやすい領域です。給与計算のように影響の大きい業務は、機微情報の取り扱いルールを整備したうえで着手することをおすすめします。

Q. 給与データをAIに入力するのは危険ではありませんか?

A. マスキング等の運用ルールに加えて、利用するAIサービスの契約プランを確認することが重要です。給与計算クラウド内のAI機能と、外部の生成AI(ChatGPT等)への直接入力はデータの流れが異なるため、区別して考える必要があります。断定的に「安全」と言えるものではなく、確認を前提とした運用が必要です。

Q. 給与計算クラウドに搭載されたAI機能と、ChatGPTのような外部の生成AIは何が違いますか?

A. 前者は契約している同一サービスの中でデータが処理されるのに対し、後者は担当者が個人の判断でデータを外部サービスに入力する行為です。後者を使う場合は、個人が特定できる情報のマスキングと、契約プランの学習利用オプトアウト設定の確認がより重要になります。

Q. 社労士の仕事はAIに代替されますか?

A. 給与計算や定型的な書類作成のように機械的に処理できる業務は効率化が進む可能性があると当社は考えていますが、個別の法解釈や行政への代理申請権限といった業務は専門家に求められる役割として残り続けると考えています。

Q. 36協定の上限規制をAIが自動でチェックしてくれますか?

A. 勤怠データを集計し、上限に近づいている従業員をアラートで知らせるところまではAIやシステムに任せやすい領域です。ただし、協定の内容そのものの解釈や、上限に近づいた際の対応方針の判断は、社会保険労務士など専門家への確認を推奨します。

Q. 法改正の対応もAIに任せられますか?

A. 改正情報の要約や、自社の規程のどこに影響が及びそうかを洗い出す作業まではAIに任せやすい領域です。ただし、改正内容の解釈や規程の改定そのものは、社会保険労務士など専門家の確認を経てから行うことをおすすめします。

さいごに

労務は、勤怠管理・給与計算・労務相談のいずれも「規程・法令に沿って正確に処理する」ことが求められる業務が多く、AIが力を発揮しやすい条件と重なっています。一方で、給与・マイナンバー・健康情報といった機微性の高い個人情報を扱う業務でもあるため、給与計算クラウド内のAI機能と外部の生成AIへの直接入力を区別すること、法的な判断が絡む場面では専門家への確認を省略しないことが欠かせません。

「自社の労務業務にどこまでAIを活用できるか、具体的に相談したい」という方や、こうした自動化の仕組みを構築できる人材を外部から入れたいという方がいらっしゃいましたら、AI人材の業務委託活用ガイドもあわせてご覧いただくか、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。

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