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AI導入補助金2026とは。IT導入補助金からの名称変更と、生成AIが対象になる条件

2026年度からIT導入補助金は「デジタル化・AI導入補助金2026」に名称が変わりました。名称に「AI」が入りましたが、生成AIの利用料が自由に対象になるわけではありません。公募要領の記述をもとに、何が対象で何が対象外かを整理します。

公開日:2026年7月28日

執筆・編集:malna編集部(編集方針

「IT導入補助金でAIを導入したい」と考えて調べ始めると、まず名称で混乱します。2026年度から、この補助金は「デジタル化・AI導入補助金2026」という名称になっています。名称に「AI」が入ったことで、生成AIの利用料が広く補助されるようになったと受け取られがちですが、公募要領を読むとそうではありません。本記事では、名称変更の事実関係と、AI関連の費用がどういう条件で対象になるのかを、公募要領の記述に沿って整理します。

本記事は2026年7月28日時点の公募要領(通常枠)に基づいています。締切日・制度内容は変更されるため、申請前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

名称が変わっています

2026年度から、事業名は「中小企業デジタル化・AI導入支援事業」、補助金の通称は「デジタル化・AI導入補助金2026」となっています。従来「IT導入補助金」と呼ばれていたものです。公式サイトのドメインは従来のまま(it-shien.smrj.go.jp)ですが、サイト全体の表記が新名称に切り替わっています(出典: 中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金制度概要」 https://it-shien.smrj.go.jp/about/ )。事務局はTOPPAN株式会社です。

あわせて、別の制度でも変更が起きています。中小企業新事業進出補助金は公募を終了し、ものづくり補助金と統合されました。 旧サイトには「本補助金の公募は終了しております 新規の受付は『新事業進出・ものづくり商業サービス補助金』まで」と明記されています(出典: 中小企業基盤整備機構「中小企業新事業進出補助金」 https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/ )。

補助金の解説記事は旧名称のまま更新されていないものが多く残っています。検索して出てきた情報がいつ時点のものかを確認してから読むことをおすすめします。

AIは対象に含まれる。ただし条件がある

公募要領は、補助対象となる「ITツール」を次のように定義しています。

ITツールとは、本事業においてIT導入支援事業者が提供し、かつ事務局に登録された中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上に資するソフトウェア(AIを含む。以下同じ。)・オプション・役務・ハードウェアの総称を指す。

AIを含むソフトウェアが対象であることは明記されています。問題は、その手前にある条件です。

補助対象経費は、IT導入支援事業者が提供し、あらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用とする。

(いずれも出典: 中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 公募要領」 https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2026_koubo_tsujyo.pdf

つまり、自社で好きな生成AIサービスを契約して、その費用を申請できる制度ではありません。 登録済みのIT導入支援事業者が提供し、かつ事務局に登録されたツールの中から選ぶ仕組みです。使いたいAIツールが決まっている場合は、まずそれが登録されているかを確認するところから始まります。

「汎用ツールだけ」では申請できない

もう一つ、AI関連ツールで引っかかりやすい要件があります。

補助対象のITツールは「業務プロセス」を保有している必要があり、プロセスは共通プロセス(顧客対応・販売支援/決済・債権債務・資金回収/供給・在庫・物流/会計・財務・経営/総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス・統合業務)、業種特化型プロセス、そして汎用プロセス(汎P-07「汎用・自動化・分析ツール」)に分類されています。

公募要領は汎用プロセスについてこう定めています。

「汎用プロセス」のみを保有するITツールは、単独では交付申請不可だが、「共P-01」~「各業種P-06」と組み合わせて交付申請することで、1プロセスとしてカウントされ交付申請が可能となる。

汎P-07は「業種・業務が限定されないが、生産性向上への寄与が認められる専用のソフトウェア」と説明されています。業務を限定しない汎用的なAIツールはここに該当しやすく、それ単体では申請できないが、業務プロセスを持つツールと組み合わせれば申請できる、という構造です。

「単独では不可」とだけ書かれた解説を読んで諦めてしまうケースがありそうですが、組み合わせの道は残されています。

補助率・補助額と、経費の範囲

通常枠の条件は次のとおりです。

項目内容
補助額5万円〜150万円未満(業務プロセス1種類以上)/150万円〜450万円以下(4種類以上)
補助率1/2以内(※下記の最低賃金要件を満たす場合は2/3以内)
補助対象経費ソフトウェア購入費、クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分)、導入関連費
補助事業の実施期間交付決定日から6ヶ月間程度

補助率が2/3に上がる要件は、令和6年10月から令和7年9月までの間で、「当該期間における地域別最低賃金以上〜令和7年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある場合、と定められています。

サブスクリプション形式のソフトウェアについては、公募要領に「買取形式及び月額・年額で使用料金が定められている形態の製品(サブスクリプション販売形式等)は最大2年分の費用を補助対象とする」とあります。月額課金のAIツールでも、2年分までは対象になり得るということです。

なお通常枠のほかに、インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠、複数者連携デジタル化・AI導入枠があり、それぞれ補助率と上限額が異なります。

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対象外になるもの

公募要領は補助対象外の経費を列挙しています。実務でつまずきやすいものを抜き出します。

対象外補足
交付決定前に購入したITツール先に契約・発注してしまうと対象になりません
リース・レンタル契約のITツールサイバーセキュリティお助け隊サービスを除く
対外的に無償で提供されているもの無料プランの生成AIは該当すると考えられます
交付申請時にITツールの利用金額が定められないもの従量課金で金額が確定しない契約は注意が必要です
補助金申請・報告に係る申請代行費
公租公課(消費税)
中古品

最も事故が起きやすいのは1つ目です。 公募要領は「交付決定前にITツールを契約、発注した場合は補助対象とならない」と明記し、契約・発注は交付決定後に行うことと定めています。「先に導入して、あとから申請する」という順序は通りません。

検討の順序

ここまでを踏まえると、AI導入で補助金を使いたい場合の順序は次のようになります。

  1. 導入したい業務を先に決める。 補助対象は業務プロセスに紐づく仕組みなので、「AIを入れたい」ではなく「どの業務を改善したいか」から入るほうが要件に合わせやすくなります
  2. その業務に合う登録済みITツールがあるかを確認する。 使いたいツールが決まっていても、登録されていなければ対象外です
  3. 契約・発注は交付決定後に行う。 ここを間違えると、要件を満たしていても補助を受けられません
  4. 最新の締切と要件を公式サイトで確認する。 この制度は締切回制で、締切ごとに交付決定日と事業実施期間が設定されます(出典: 中小企業基盤整備機構「事業スケジュール」 https://it-shien.smrj.go.jp/schedule/

補助金は年度ごとに制度が変わります。本記事の内容も、次年度以降は前提が変わる可能性があります。公募要領の版数と公表日を確認したうえで判断してください。

まとめ

IT導入補助金は2026年度から「デジタル化・AI導入補助金2026」になりました。名称にAIが入り、公募要領にも「ソフトウェア(AIを含む)」と明記されています。ただし、対象になるのは事務局に登録されたITツールに限られ、汎用的なAIツール単体では申請できず(業務プロセスを持つツールとの組み合わせは可能)、交付決定前に契約すると対象外になります。

「AIの費用が補助される制度ができた」と理解して進めると、この三つのどこかで止まります。制度に合わせて導入計画を組むか、補助金を使わずに進めるかは、要件を把握したうえで判断するのが結果的に早いと考えられます。

どの業務からAIを入れるべきかの整理や、補助金の要件に合う進め方の検討から相談したい場合は、企業からのご相談もご検討ください。オンラインでの打ち合わせを基本としつつ、必要に応じて訪問しての対応も可能です。

なお本記事は公募要領の記述を整理したものであり、個別の申請可否や要件該当性についての判断は、公式サイトおよびIT導入支援事業者、必要に応じて専門家にご確認ください。

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