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コラム

AI顧問の費用相場を、公開されている料金表の実額から確認する

AI顧問の相場は「月10〜30万円」と書かれることが多いものの、出典が示されないことがほとんどです。本記事では料金を公開している事業者のページから実額を確認し、月額の差がどこで決まるのか、初年度の総額がどこまで開くのか、助成金で下がる部分と下がらない部分を整理します。

公開日:2026年8月5日

執筆・編集:malna編集部(編集方針

AI顧問の費用を調べると「月10〜30万円が相場」という記述に何度も行き当たります。ただ、その数字の出どころが示されている記事はほとんど見当たりません。相場観だけを渡されても、自社の見積もりが高いのか安いのか判断できません。

本記事では、料金を実際に公開している事業者のページから確認できた実額だけを並べます。そのうえで、金額の幅がどこで決まるのか、助成金でどこまで下げられるのかを整理します。

前提として、これは市場全体の統計ではありません。 料金を公開している事業者は少数で、以下は2026年8月5日時点で公開ページから確認できた3社・7プランのサンプルです。多くの事業者は「要相談」としており、公開価格が市場の中心値である保証はありません。むしろ料金を公開する事業者は比較検討で選ばれることを想定している側に偏るため、安価帯に寄る可能性があります。

公開されている料金の実額

税表記が事業者ごとに揃っていないため、税込に換算した列を併記します(税別・記載なしのものは消費税10%を加えた参考値)。

事業者プラン公開されている月額税込換算(参考)出典の性質
ジェイテックサービスライト30,000円(税表記なし)約33,000円自社サービスページ
ジェイテックサービススタンダード50,000円(税表記なし)約55,000円自社サービスページ
ジェイテックサービスプレミアム200,000円〜(税表記なし)約220,000円〜自社サービスページ
BoostXライト帯110,000円(税込)110,000円自社ブログ記事内の記載
BoostXベーシック帯330,000円(税込)330,000円自社ブログ記事内の記載
BoostXプレミアム帯要相談自社ブログ記事内の記載
合同会社NextCoreAI伴走支援450,000円(税別)495,000円自社サービスページ

出典(いずれも2026年8月5日に確認):

BoostXの金額は同社ブログ記事内に自社プランとして記載されているものです。 申込用の料金ページで確認したものではないため、上の2社より出典としての性質が弱い点にご留意ください。契約前には各社の最新の公開情報でご確認ください。

なお、サービス名称も揃っていません。 ジェイテックサービスは「AI顧問」、NextCoreは「AI伴走支援」、BoostXは「AIコンサル」として提供しており、成果物や責任範囲の定義は各社で異なります。同じ土俵の比較ではないため、金額の高低だけで優劣は判断できません。

月額の差を作っているのは「誰が手を動かすか」

公開されているプランの中身を並べると、価格差の要因が見えてきます。以下は上記3社の公開情報から読み取れる傾向であり、市場全体の法則ではありません。

月3万〜5万円の帯は相談への回答が中心です。ジェイテックサービスのライト(3万円)は無制限のチャット・メール相談、AI活用テーマの選定、月1件の簡易プロンプト作成・改善、原則1営業日以内の回答という構成です。スタンダード(5万円)でここに月1回60分の定例相談と月1テーマの業務テンプレート一式が加わります。

月11万〜33万円の帯では検証プロジェクトが並走します。BoostXのライト帯(11万円税込)は月2回の定例MTG・チャット相談無制限・検証プロジェクト1件で、同社は月15〜24時間程度の専門家稼働が含まれると記載しています。ベーシック帯(33万円税込)では定例MTGが月3回、検証プロジェクトが最大2件になり、プロンプト設計・業務フロー構築が範囲に入ります。

月20万円以上の帯では提供側が実装作業を担います。ジェイテックサービスのプレミアム(20万円〜)は「当社が実装作業まで担当」と明記され、業務フロー・自動化の実装支援、複数部門への横展開、運用ルール・社内ガイド整備が含まれます。NextCoreの月45万円(税別)は継続的な改善とバックログ管理、社内展開用の手順書整備までを範囲としています。

つまり月額を分けているのは、定例の回数ではなく「誰が手を動かすか」と読めます。ただし、社内に実行できる人がいれば安価帯で足りるとは限りません。セキュリティ・社内規程の整備、品質の担保、継続的な改善までを含めると、実行役がいても支援範囲が必要になる場合があります。

社内に実行役がいるかどうかで役割が分かれる点は、AI顧問とは。役割・費用の考え方・業務委託人材との違いで整理しています。

月額ではなく初年度の総額で見ると、差は数百万円になる

月額だけを並べると差は月40万円ほどに見えますが、初期費用と契約期間を入れると初年度の総額は桁で開きます。

想定内訳初年度の概算
ジェイテックサービス ライト33,000円(税込換算)×12約40万円
BoostX ライト帯110,000円×12+ツール代 約6,000円×12約139万円
BoostX ベーシック帯330,000円×12+ツール代 約6,000円×12約403万円
NextCore AI伴走支援495,000円(税込換算)×12+初期費用 330,000円(同)約627万円

最も安い構成と最も高い構成では初年度で約590万円の差が出ます。 月額の差(約46万円)を12倍し、初期費用を乗せた結果です。月額の数字だけで比較すると、この差を見落とします。

確認すべき条件は次の2つです。

初期費用が別途かかる場合があります。 NextCoreは「導入整理・初期設計」として300,000円(税別)を月額とは別に掲げています。対象業務の棚卸し、初期プロンプトとテンプレートの整備、運用ルールの設定が含まれる位置づけです。

最低契約期間と解約条件で撤退コストが変わります。 BoostXは「3ヶ月以降は月単位解約可(違約金なし)」と明記しています。最低3ヶ月であれば、11万円のプランでも最低支払額は33万円です。合わない相手だった場合にいくらで降りられるかは、月額そのものより重要になることがあります。

また、ツール代が顧客負担になる場合があります。BoostXはAIツール代(ChatGPT Plus・Claude Pro)を顧客負担とし、月額約6,000円が目安と記載しています。年間で約7万円です。

ここまでの内容を、自社の依頼として整理してみませんか

課題が固まっていない段階でも、実務でAIを使える人材への依頼内容を一緒に整理できます。

費用感と進め方を相談する

助成金で下がるのは「訓練」の部分。顧問料そのものは対象外とされている

AI関連の支出には人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)が使えるという説明を見かけます。ただし顧問料をそのまま経費助成に載せることはできません。

厚生労働省のパンフレット(令和8年8月3日版)は、事業内訓練における対象とならない経費として次を挙げています。

外部講師の旅費・宿泊費のうち上限を超えるもの、車代(タクシーなど)、食費、「経営指導料・経営協力料」等のコンサルタント料に相当するもの

コンサルタント料に相当するものは明示的に対象外です。したがって「AI顧問の月額を助成金で実質負担ゼロにする」という組み立ては成立しないと考えられます。なお、個別の契約がこの除外に当たるかは契約の実態によって判断されるため、最終的な可否は管轄の都道府県労働局にご確認ください。

一方で、要件を満たす訓練を実施した場合は、その訓練の経費が助成対象になり得ます。

助成率と、見落としやすい支給限度額

項目中小企業中小企業以外
経費助成率75%60%
賃金助成額(1人1時間当たり)1,000円500円
設備投資加算導入費用の50%対象外

率だけを見ると誤解します。支給限度額があります。

経費助成の限度額は1人1訓練あたりで、中小企業事業主の場合は次のとおりです。

実訓練時間数中小企業事業主中小企業以外
10時間以上100時間未満30万円20万円
100時間以上200時間未満40万円25万円
200時間以上50万円30万円
  • eラーニングおよび通信制による訓練等は、中小企業15万円・大企業10万円が限度額です
  • 定額制サービスによる訓練の場合は、1人1月あたり2万円です
  • 賃金助成の限度時間は1,200時間(専門実践教育訓練は1,600時間)です
  • 設備投資加算の限度額は支給対象労働者1人につき15万円、10人以上の場合は150万円です
  • 助成対象となる訓練等の受講回数の上限は、1労働者につき1年度で3回までです。うちeラーニングによる訓練は1年度で1回までです
  • 1事業所が1年度に受給できる助成額は1億円です

つまり、実訓練時間が10〜100時間未満の訓練であれば、経費助成率は75%でも上限は30万円です。40万円の訓練なら75%で30万円に達し、それを超える部分は助成されません。「研修にすれば大半が戻る」という理解は誤りです。

訓練の要件

  • 訓練の形態: OFF-JT
  • 訓練時間数: 10時間以上
  • 計画届の提出: 訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に労働局へ提出
  • 「職業能力開発推進者」の選任と「事業内職業能力開発計画」の策定・周知(計画届の提出日までに)
  • 対象労働者の職務に直接関連する訓練であること
  • 支給申請日までに申請事業主が訓練経費を全額負担していること

対象になる経費には「部外講師への謝金・手当」があり、実訓練時間数1時間当たり3万円が上限(消費税込み)と定められています。

eラーニング・通信制の扱いには注意が必要です。 パンフレットは「eラーニングによる訓練等、通信制による訓練等、定額制サービスによる訓練及び育児休業中訓練は経費助成のみです」としています。つまりこれらは経費助成の対象にはなり得ますが、賃金助成は受けられません。加えて上記のとおり経費助成の限度額が15万円に下がり、受講回数も1年度1回までに制限されます。

一方、通学制および同時双方向型の通信訓練は、これらの制限の対象ではありません(設備投資加算の訓練要件にも「通学制または同時双方向型の通信訓練であること」と示されています)。オンラインであっても講師と受講者が同時にやりとりする形式であれば、通常の枠組みで検討できます。

この制度は令和4年度〜8年度の期間限定として創設されたものです。令和8年度が最終年度にあたりますが、制度の延長や後継措置の有無は本記事執筆時点では確認できていません。利用を検討する場合は、最新の実施要領で終了時期と経過措置をご確認ください。

「実質無料」を謳う勧誘には公式が注意喚起している

同じパンフレットには、次の記載があります。

昨今、上記のスキームにより、助成金を活用して従業員に訓練を実質無料で受けさせることができるなどと謳い、本来受けることができない助成金・訓練の提案・勧誘を行う訓練機関やコンサルティング会社などが存在しているという情報が寄せられています。

経費助成は「訓練等に要した経費を支給申請までに申請事業主が全て負担している」ことが要件で、訓練機関からの返金やキックバックを受けた場合は全額が支給対象外になります。助成金の有無だけで受講料に差額を生じさせている場合も、その差額分は支給対象外です。

不正受給に対しては、事業主(企業)名や代表者名の公表、悪質な場合は捜査機関への刑事告訴が行われるとされています。不利益を受けるのは企業側なので、提案を受ける側が中身を確認する必要があります。

実態がコンサルティングであるものを、助成金を受けるために名目上「研修」として契約するのは、ここで警告されているスキームに当たり得ます。 助成金の対象になるのは実態として訓練を実施した場合に限られます。

(出典: 厚生労働省「人材開発支援助成金」ページ内「令和8年度版 事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」令和8年8月3日版 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html

見積もりを比較するときに確認すること

公開価格の構造から逆算すると、複数社の見積もりを並べるときに効く質問は次のものです。

  • 月額は税込か税別か
  • 初期費用は別途かかるか。 月額とは別に数十万円が乗る場合があります
  • 最低契約期間と解約条件はどうなっているか。 撤退コストが読めます
  • AIツールの利用料はどちら負担か
  • 実装は誰がやるのか。 助言までか、提供側が手を動かすところまでか
  • 含まれる稼働時間の目安は何時間か
  • 上記を合わせた初年度の総額はいくらになるか

まとめ

公開されている料金から確認できたAI顧問の月額は、月3万円から45万円(税別)まででした。ただし比較すべきは月額ではなく初年度の総額で、初期費用とツール代を含めると最も安い構成と最も高い構成の差は約590万円になります。「月10〜30万円が相場」という記述は、この幅の一部を切り取ったものにすぎません。

月額を分けているのは相談の回数ではなく、実装を誰がやるかと読めます。自社に実行役がいるかを先に決めるほうが、相場を調べるより見積もりの判断が早くなります。ただし実行役がいれば安価帯で足りるとは限らず、セキュリティ・社内規程・品質担保の範囲もあわせて確認が必要です。

助成金については、顧問料そのものは対象外とされている一方、要件を満たす訓練は中小企業で経費の75%が対象になり得ます。ただし1人1訓練あたり30万円(実訓練10〜100時間未満)という上限があり、訓練10時間以上・OFF-JT・計画届の事前提出という要件も伴います。率だけを見て総額を見積もると外れます。

自社の業務のどこから着手すべきかの整理から相談したい場合は、企業からのご相談もご検討ください。オンラインでの打ち合わせを基本としつつ、必要に応じて訪問しての対応も可能です。

なお本記事の料金は2026年8月5日時点で各社が公開しているページから確認したものです。料金は改定されるため、契約前に必ず各社の最新の公開情報をご確認ください。また、当サイトを運営するmalna株式会社もAI導入支援を提供しており、本記事はその立場で作成しています。助成金の個別の支給可否は、管轄の都道府県労働局にご確認ください。

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