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IT導入補助金の採択率は枠で大きく違う。2026年の交付決定実績から読む

デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)の交付決定実績を見ると、通常枠は約4割、セキュリティ対策推進枠は7割超と、申請枠によって通りやすさが大きく異なります。公式が公表する申請数・交付決定数から読み取れることを整理します。

公開日:2026年7月28日

執筆・編集:malna編集部(編集方針

補助金を検討するとき、多くの人がまず気にするのが採択率です。ただ、デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)については、全体の採択率を見ても意味がありません。申請枠によって数字が大きく違うためです。本記事では、公式が公表している申請数と交付決定数から、枠ごとの実態を整理します。

本記事は2026年7月28日時点の公表データ(更新日2026年7月23日)に基づいています。以降の締切分は順次追加されるため、最新の数字は公式サイトでご確認ください。

なお、以下の「割合」はすべて当方が公表値(申請数・交付決定数)から計算したものです。公式サイトが「採択率」として公表している数値ではありません。

枠ごとの実績

交付決定日締切申請枠申請数交付決定数割合
2026年6月18日1次通常枠2,028891約43.9%
2026年6月18日1次インボイス枠(インボイス対応類型)4,3242,027約46.9%
2026年6月18日1次インボイス枠(電子取引類型)00
2026年6月18日1次セキュリティ対策推進枠8864約72.7%
2026年7月23日2次通常枠1,879819約43.6%
2026年7月23日2次インボイス枠(インボイス対応類型)3,7902,096約55.3%
2026年7月23日2次セキュリティ対策推進枠2820約71.4%
2026年7月23日1次複数者連携デジタル化・AI導入枠21

(出典: 中小企業基盤整備機構「交付決定事業者一覧・申請数および交付決定数」更新日2026年7月23日 https://it-shien.smrj.go.jp/download/grantdecision_list/

この表から読めること

通常枠は4割強で安定しています。 1次43.9%、2次43.6%とほぼ同じ水準で、半分以上が通っていません。「申請すれば大体通る」制度ではありません。

セキュリティ対策推進枠は7割超と、明らかに通りやすい。 1次72.7%、2次71.4%です。ただし申請数自体が88件・28件と極端に少ない。この枠は、独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスが対象で、補助額も5万円〜150万円と限定的です(出典: 中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 公募要領」 https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2026_koubo_tsujyo.pdf )。対象が狭いぶん、要件に合う事業者が申請すれば通りやすい構造だと考えられます。

インボイス対応類型は申請数が最も多い。 1次4,324件、2次3,790件と、通常枠の倍以上です。割合は1次46.9%から2次55.3%へ上がっています。

電子取引類型は申請数がゼロです。 1次・2次ともに0件でした。枠として用意されてはいるものの、実際には使われていないことになります。この枠を前提に計画を立てるのは現実的ではないと考えられます。

「採択率が高い枠を狙う」は成立しない

数字だけ見るとセキュリティ対策推進枠が有利に見えますが、枠は自社の導入内容によって決まるもので、選べるものではありません。サイバーセキュリティお助け隊サービスを導入しないのにこの枠で申請することはできません。

現実的な読み方は逆で、「自社が該当する枠の水準を知り、それに見合った準備をする」ことです。通常枠を使うなら、半分以上が通っていない前提で事業計画を作る必要があります。

通常枠で求められる要件

通常枠の申請には、次の要件が公募要領に定められています。

要件内容
GビズIDプライム取得が必要
SECURITY ACTION★一つ星または★★二つ星の宣言
IT導入支援事業者パートナーシップが必要(複数者連携枠を除く)
業務プロセス補助額5万円〜150万円未満なら1種類以上、150万円〜450万円以下なら4種類以上
労働生産性3年間の事業計画で、1年後+3%以上かつ年平均成長率+3%以上(2023〜2025年に交付決定を受けた事業者は+4%以上)
事業場内最低賃金地域別最低賃金以上であること

(出典: 同公募要領)

過去に交付決定を受けた事業者は+4%以上と、ハードルが上がる点は見落としやすい箇所です。リピート申請の場合は計画の作り方が変わります。

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準備で時間がかかるところ

採択率そのものより、実務で効いてくるのは準備の順序です。

GビズIDプライムの取得には時間がかかります。 これは申請の前提になるため、締切から逆算して先に着手しておく必要があります。

IT導入支援事業者を先に決める必要があります。 補助対象は事務局に登録されたITツールに限られ、そのツールは登録済みのIT導入支援事業者が提供するものです。つまり「補助金を使いたい」と思った時点で、まず支援事業者を探すところから始まります。

交付決定前に契約・発注すると対象外です。 公募要領は「交付決定前にITツールを契約、発注した場合は補助対象とならない」と明記しています。急いで導入を進めてしまうと、要件を満たしていても補助を受けられません。

この制度は締切回制

デジタル化・AI導入補助金2026は通年で申請を受け付けつつ、締切回ごとに交付決定日と事業実施期間が設定される仕組みです。上の表で1次・2次と分かれているのはそのためです。

締切日は回ごとに公表され、確定している募集回のみが公開されます。本記事では具体的な締切日を記載しません(改定・追加が随時あるため)。最新の日程は公式サイトの事業スケジュールをご確認ください(出典: 中小企業基盤整備機構「事業スケジュール」 https://it-shien.smrj.go.jp/schedule/ )。

まとめ

デジタル化・AI導入補助金2026の交付決定実績を見ると、通常枠は4割強、セキュリティ対策推進枠は7割超、電子取引類型は申請ゼロと、枠によって様相がまったく異なります。全体の採択率という数字には意味がありません。

自社が該当する枠を確認し、その水準に見合った事業計画を作ること。そしてGビズIDプライムの取得とIT導入支援事業者の選定を締切から逆算して進めること。この二つが、採択率を気にするより先に手をつけるべきところだと考えられます。

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なお本記事は公表データと公募要領を整理したものであり、個別の申請可否の判断は公式サイトおよびIT導入支援事業者にご確認ください。

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