コラム
広報業務にAI活用人材を迎える具体像:プレスリリース・社内報・メディアリストの切り出し方
広報担当者が兼務で手が回らない業務を外部のAI活用人材に任せる際、プレスリリースやメディアリストなど、どの業務をどこまで任せられるかを具体的に整理します。
公開日:2026年7月24日
執筆・編集:malna編集部(編集方針)

結論
広報業務にAI活用人材を迎える際は、「広報を丸ごと任せる」のではなく、プレスリリースのたたき台作成・社内報の下書き・メディアリストの整理・SNS発信文面の下書きといった、定型化しやすい工程から切り出すのが現実的だと考えられます。一方で、経営層コメントの最終確認や危機管理対応、メディアとの関係構築は、責任の所在が重いため社内に残す領域です。この線引きを先に決めておくことが、広報部門でAI活用人材の受け入れを進める際の土台になります。
広報担当者が兼務で手が回らなくなりやすい理由
広報は専任の担当者を置ける企業ばかりではなく、人事や経営企画などと兼務している場合も少なくないと考えられます。プレスリリースの作成、社内報の編集、メディア対応の準備、SNSでの発信など、性質の異なる業務が一人の担当者に集中しやすいことが、広報部門特有の負荷につながっているようです。
こうした状況では、生成AIを使いこなせる外部人材に周辺業務を任せることで、担当者は経営層とのすり合わせやメディアとの関係構築といった、社内でしか担えない業務に時間を割けるようになると考えられます。ただし、どの業務をどこまで任せるかを曖昧にしたまま依頼すると、成果物のズレや手戻りが起きやすい点は、他の職種への発注と変わりません。発注内容の言語化そのものについては生成AIに詳しい外部人材への依頼内容の切り出し方でも整理していますので、あわせて参考にしてください。
広報業務の切り出し例とAI適性
広報が担うことの多い業務を例に、AI活用人材への切り出しやすさを整理すると、次のようになります。
| 業務 | AI活用の適性 | 外部人材への任せ方 |
|---|---|---|
| プレスリリース文面のたたき台作成 | 高 | 発表内容の要点を共有し初稿作成を依頼する |
| メディアリストの作成・更新 | 高 | 公開情報をもとにした整理業務として依頼する |
| SNS発信文面のたたき台作成 | 高 | 投稿前の最終確認は社内で行う前提で依頼する |
| 社内報・社内向け発信のたたき台作成 | 高 | 取材内容や素材を共有し構成・下書きを依頼する |
| メディア掲載のクリッピング・集計 | 高 | 定型化しやすく継続依頼に向く |
| 取材想定問答の下書き作成 | 中 | 回答の最終判断は社内で行う協働領域 |
| 経営層コメント・対外発信の最終確認 | 低 | 文責は依頼企業側に残る社内向き業務 |
| 危機管理広報の初動対応方針 | 低 | 初動判断の責任は社内に残す |
表からも分かるとおり、広報業務の中には工程単位で見ればAIに任せやすい部分と、責任の所在ゆえに社内に残すべき部分が混在しています。業務を「広報」という単位でひとくくりにせず、工程ごとに切り分けて依頼することが、広報でAI活用人材を受け入れる際のポイントだと言えます。
プレスリリース・社内報のたたき台作成を任せる
プレスリリースや社内報は、発表内容や取材素材といった元情報さえ整理して渡せれば、構成案や初稿の作成を外部人材に任せやすい業務です。ゼロから文章を書き起こす負荷を軽減できる一方、公開前の事実確認と最終的な文責は、これまでどおり社内の担当者が担う必要があります。特にプレスリリースは対外発信であるため、数値や固有名詞の裏取りを外部人材任せにせず、社内で必ず確認する工程を挟むことが欠かせません。
メディアリスト整理・クリッピング業務を任せる
メディアリストの作成・更新や、掲載実績のクリッピング・集計は、公開情報をもとにした整理業務としてAI活用人材に依頼しやすい領域です。継続的に発生する定型業務であるため、依頼内容を一度言語化してしまえば、その後は安定して任せやすいという特徴もあります。一方、メディアとの実際の関係構築や信頼関係の維持は、社内の担当者が継続的に担うべき業務として切り分けておく必要があります。
SNS発信文面の下書きを任せる
企業公式SNSの発信文面についても、テーマや伝えたいポイントを共有すれば、外部人材にたたき台の作成を依頼しやすい業務です。ただし、投稿内容が景品表示法や薬機法など各種法令に抵触しないか、また事実に基づかない表現になっていないかは、投稿前に必ず社内で確認する体制を残すことが前提になります。生成AIが作成した下書きをそのまま公開する運用は避け、確認工程を組み込んだ依頼設計にすることが重要です。
社内に残すべき判断
経営層コメントやIR関連文面の最終確認、危機管理広報における初動の方針判断、メディアとのリレーション構築は、責任の所在が重く、外部人材に委ねるべきではない領域だと考えられます。これらの業務は「AIに任せられるかどうか」ではなく、対外的な文責や経営判断が伴うという性質上、社内が担い続けるべき業務として明確に切り分けておく必要があります。
まとめ
広報業務にAI活用人材を迎える際は、プレスリリースや社内報のたたき台作成、メディアリストの整理、SNS発信文面の下書きといった定型化しやすい工程から任せ、経営層コメントの最終確認や危機管理対応、メディアとの関係構築は社内に残すという役割分担が現実的です。工程単位で業務を切り分け、依頼内容を言語化した上で発注することが、兼務の多い広報部門で外部人材の専門性を活かすための土台になります。
