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コラム

生成AIの業務効率化事例。レポーティング月30時間を10時間にした現場で起きたこと

生成AIによる業務効率化の実例を、支援実績の公開データから紹介します。広告レポーティング工数を月30時間から10時間程度へ圧縮した人材企業、効率化で生まれた時間を事業拡大に振り向けた学習塾など、数字の出どころを明示しながら、成果が出た現場に共通する条件を整理します。

公開日:2026年9月2日

執筆・編集:malna編集部(編集方針

生成AIの業務効率化は、事例を探すと「メールの下書きが速くなった」「議事録の要約が楽になった」という個人レベルの話が多く、業務として、組織として何がどれだけ変わったのかまで書かれたものは多くありません。本記事では、当社(malna)が支援し、企業名と数字を公開している実例をもとに、生成AIの業務効率化で実際に起きたことと、成果が出た現場に共通する条件を整理します。

なお、本記事で挙げる数値はいずれも各社の許諾を得て公開している支援実績インタビューからの引用であり、出典を明示します。各社固有の業務環境・体制のもとでの結果であり、同様の成果を保証するものではありません。

前提: 「使っている」と「業務が変わった」の間には大きな段差がある

総務省「令和7年版 情報通信白書」によれば、何らかの業務で生成AIを利用している日本企業は55.2%にのぼる一方、生成AIの活用方針を定めている企業は49.7%にとどまります(出典: 総務省 令和7年版情報通信白書「企業におけるAI利用の現状」)。使ってはいるが、方針や体制のないまま個人の工夫に留まっている企業が相当数あると読み取れます。

つまり「生成AIを使う」こと自体はもう珍しくありません。差がつくのは、特定の業務プロセスを生成AI前提で組み直し、浮いた時間の使い道まで設計できるかどうかです。以下の事例は、いずれもその段差を越えた現場の記録です。

事例1: 広告レポーティング工数を月30時間から10時間程度へ(人材業・Nextbeat)

「保育士バンク!」「おもてなしHR」を運営する人材企業のNextbeatでは、マーケティング組織の生産性向上を目的に、広告運用業務への生成AI組み込みを進めました。

公開されている成果は次のとおりです。

  • レポーティング工数: 月30時間近くから月10時間程度に圧縮
  • 求人票の改善サイクル: 数日がかりから数時間に短縮
  • 広告運用のCPA(顧客獲得単価)は約15%改善、応募数は20%増加
  • 浮いた時間は、年間の運用プランやクリエイティブ戦略に再配分

(出典: malna支援実績・Nextbeat様

この事例のポイントは、効率化の対象を「毎週・毎月、決まった形式で繰り返す業務」に絞ったことです。レポーティングやモニタリングは、入力(広告データ)と出力(レポート形式)が明確で、出力の正誤を確認する基準をあらかじめ決めておける典型的な定型業務です。AIダッシュボードの設計・運用までを毎月回る運用に落とし込んだため、単発の時短で終わらず、継続する工数削減として定着しています。広告レポート自動化の具体的な進め方は広告レポート作成をAIで自動化する方法でも扱っています。

事例2: 効率化で生まれた時間を事業拡大に振り向けた(教育業・厚胤塾)

最難関大学受験・医学部受験専門の学習塾である株式会社厚胤塾では、集客支援とあわせて、AI活用を含む業務効率化と運営の内部設計を進めました。

公開されているインタビューでは、リブランディング当時と比べて生徒数が10倍以上に増える中で、業務効率化でつくった時間を生徒向けの取り組みや新校舎・新サービスといった「学びの機会を広げる挑戦」に充てられるようになったことが、塾の拡大につながる要因だったと語られています(出典: malna支援実績・株式会社厚胤塾様)。

この事例が示すのは、業務効率化の価値はその時間の使い道で決まるということです。運営側の設計と集客の設計を同時に整えたことで、拡大しても指導品質が崩れない体制と、訴求のブレが起きにくいコミュニケーションが両立しています。

ここまでの内容を、自社の依頼として整理してみませんか

課題が固まっていない段階でも、実務でAIを使える人材への依頼内容を一緒に整理できます。

費用感と進め方を相談する

事例3: 支援会社自身の全社導入(マーケティング業・malna)

当社自身も、マーケティング支援会社としてClaude Codeを全社導入し、コードを書いたことのないマーケティング担当のメンバーが日々の業務でAIエージェントを使いこなす状態をつくってきました(経緯は採用note「Claude Codeに触れて衝撃。malnaを1週間で"AIネイティブ"な企業に変えると決めた話」で公開しています)。

当事者としてやってみて分かったのは、ツールの導入自体より、業務を「判断が必要な部分」と「手順が決まっている部分」に分解する作業のほうがはるかに重要だということです。この分解ができる人材の要件はAX人材とは?AI人材・DX人材との違いと3つの役割類型で詳しく整理しています。

3つの事例に共通する条件

事例を並べると、成果が出た現場には共通点があります。

共通する条件具体的には
定型業務から着手しているレポーティング、求人票制作、モニタリングなど、入力と出力が明確な業務を最初の対象に選んでいる
浮いた時間の使い道を先に決めている戦略業務への再配分、新サービスへの挑戦など、削減した工数の行き先が設計されている
業務を分かっている人が関わっているツールの操作ではなく、業務プロセスの再設計として進めている
単発で終わらせず仕組みにしているダッシュボード化、運用ルール化により、担当者が変わっても効果が続く形にしている

逆に言えば、「何かAIで効率化できないか」という漠然とした状態から成果につながった事例は、当社の支援経験の範囲では見当たりません。まず対象業務を絞り、その業務の入力と出力を言語化することが出発点になります。業務の切り出し方の具体的な手順はAI人材の業務委託活用ガイドで解説しています。

自社で再現するための最初の一歩

事例と同じ道筋を自社でたどるなら、順序は次のようになります。

  1. 毎週・毎月、決まった形式で繰り返している業務を書き出す
  2. その中から、成果物の良し悪しを判断できる人が社内にいる業務を1つ選ぶ
  3. 現状の手順と所要時間を記録する(効果測定の基準になります)
  4. 生成AIに任せる範囲と人が確認する範囲を分けて、小さく試す
  5. 効果が確認できたら、仕組み化して他の業務へ広げる

社内にこの進め方を設計できる人がいない場合は、外部人材に伴走してもらいながら進める選択肢もあります。どの業務から任せられるかの整理も含めて、企業からのご相談で状況を伺いながらご一緒できます。

AI活用人材への依頼を相談する

課題整理の段階から、実務でAIを使える人材の活用方法を相談できます。

  • 相談した時点で契約は発生しません。
  • ご紹介にあたっての手数料は利用規約 第11条に記載しています。
  • ご紹介は、書類と面談で実務のAI活用経験を確認した人材に限られます。