AIタレント名鑑

コラム

メルマガ作成・配信のAI活用

メルマガの件名・本文をAIで幅出しし人が選ぶ実務フロー、セグメント別の出し分けの役割分担、効果分析の読み方までを、プロンプト例とともに整理します。配信リストの個人情報の取り扱いと特定電子メール法の留意点もあわせて解説します。

公開日:2026年8月13日

執筆・編集:malna編集部(編集方針

メルマガ作成・配信のAI活用

メルマガの件名や本文を毎回一から考えるのに時間がかかっている、というお悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。当社malna(マルナ)でも、クライアントのメルマガ運用に関わる中で、担当者の方が件名の言い回しだけで長く悩んでいる場面を何度も見てきました。少人数のチームでメルマガを担当している場合や、EC・BtoBの現場で定期配信を回している場合、この作業にかけられる時間はどうしても限られてしまいます。

本記事では、メルマガの件名・本文をAIで作る実務フロー、セグメント別に文面を出し分ける際の役割分担、そして配信後の効果分析の読み方までを、当社の考え方とプロンプトの実例を交えてご紹介します。

本記事で扱う範囲

本記事は、メルマガという1本の配信を作る・出し分ける・振り返るという実務に絞ってお伝えします。以下の内容は、本記事では扱いません。

  • 複数のメールを組み合わせたシナリオ設計(誰に、どのタイミングで、何を届けるかという一連の流れの設計)については、MAシナリオ設計にAIを使う方法で詳しく扱っています。ステップメールのような複数回配信の設計を検討されている方は、そちらをご覧ください。
  • メルマガに掲載するLP(ランディングページ)やバナーそのものの作り方は、LP制作はAIでどこまでできるか広告バナーは生成AIでつくれるかで扱っています。
  • BtoBのリード育成(ナーチャリング)全体の設計論も、本記事の範囲を超えるため扱いません。

なお、本記事はマーケティング組織のAI化を扱うシリーズ記事の一つです。全体像はマーケティング組織のAI化とは?進め方と活用領域マップでご紹介していますので、あわせてご覧ください。

AIによるメルマガ件名・本文の複数案生成を示した図
AIによるメルマガ件名・本文の複数案生成を示した図

メルマガ作成をAIで進める全体の流れ

当社では、メルマガをAIで作る際、次のような順番で進めることが多いです。

  1. 配信目的とターゲットを決める(人):今回の配信で何を伝え、誰に読んでもらいたいのかを最初に決めます。
  2. 訴求軸を言語化する(人):誰の・どんな状況に・何を届けるのかを、1〜2文で言葉にします。
  3. 件名・本文をAIに幅出しさせる(AI):訴求軸をもとに、複数パターンの件名・本文をAIに作らせます。
  4. 選定・トーン調整をする(人):出てきた案から、ブランドトーンや内容の正確さを基準に選びます。
  5. セグメント別に出し分ける条件を設計する(人+AI):配信対象を分ける場合、どの属性にどの文面を当てるかを決めます(詳しくは後述します)。
  6. 配信し、効果を分析する(人):開封率・クリック率などの指標を確認し、次回の設計に反映します。

この流れで最も重要なのは、3の「量を出す工程」と4の「選ぶ工程」を分けて考えることです。件名も本文も、AIに1つだけ作らせて終わりにするより、複数案を比較したうえで選ぶほうが、結果的に納得感のある文面にたどり着きやすいというのが当社の実感です。

件名・本文をAIで作る実務フロー

訴求軸を先に決める

AIに件名・本文を投げる前に、訴求軸(誰の・どんな悩みに・何を訴求するか)を人が先に決めておくことが欠かせません。ここが曖昧なまま丸投げすると、方向性の異なる案が大量に出てくるだけになり、選ぶ工程でかえって時間がかかってしまいます。

件名づくりのプロンプト例

訴求軸が決まったら、トーンを変えて複数パターンを出させます。当社が実務で使っている型に近い例は次のとおりです。

「〇〇(商品・サービス名)の△△という悩みを持つ読者向けに、□□を訴求するメルマガの件名を、数字訴求・疑問形・ベネフィット直球の3パターンで、それぞれ3案ずつ出してください」

件名に「今だけ」「業界最安値」のような限定・比較表現を入れる場合は、景品表示法上の有利誤認表示に触れないよう確認が必要です。この点はキャッチコピーをAIで作る方法で詳しく扱っていますので、あわせてご確認ください。

本文づくりのプロンプト例

本文は、件名で立てたフックを受け止め、CTA(行動喚起)まで一直線に導く構成を意識します。

「上記の訴求軸で、件名で使ったフックを本文の冒頭で受け止め、最後にCTA(〇〇へのリンク)へつなげる構成の本文を、300字程度で3パターン作成してください。断定的な効果の保証はせず、読み手に次の一歩を促すトーンでお願いします」

選定基準

出てきた案から選ぶ際、当社では次の3点を確認しています。

確認項目見るポイント
件名と本文の整合性件名の訴求と本文の内容が食い違っていないか(開封後の期待外れを防ぐ)
ブランドトーンとの整合性断定調・カジュアル調など、自社の普段のトーンから外れていないか
CTAの一貫性本文中のCTAが1つに絞られているか(複数のCTAが混在すると効果測定がぶれやすくなります)
AIが生成したメルマガ案を選定する担当者
AIが生成したメルマガ案を選定する担当者

セグメント別の出し分け実務

メルマガを一律の内容で配信するのではなく、購買傾向や興味関心に応じて内容を出し分けたい、というご相談を当社は頻繁にいただきます。ここで整理しておきたいのは、AIに渡してよい情報と、AIには渡さず配信ツール側で扱う情報を分けるという役割分担です。

具体的には、次のような分担で進めます。

  1. 属性データ(年齢層・購買傾向等、個人が特定できない形に匿名化・集計済みのもの)だけをAIに渡す:「30代・過去3ヶ月に特定カテゴリを複数回購入した層」のような、匿名化・集計済みの顧客属性をAIに渡し、その層に効きそうなセグメント条件案と訴求文面(パターンA・B・Cなど)を生成させます。
  2. 生成された条件・文面をもとに、実際の配信対象は配信ツール・MA側で紐付ける:AIが出した「セグメント条件」と「訴求文面」を受け取り、実際にどの顧客がそのセグメントに該当するかの紐付けと配信は、配信ツールやMAツールの機能で行います。AIには、誰が対象かという実データ(氏名・メールアドレス等)を直接渡しません。

この役割分担のポイントは、AIは「匿名化されたパターンから条件と文面を考える」担当、配信ツールは「実際の個人データと紐付けて送る」担当という線引きを崩さないことです。表にすると次のようになります。

担当扱う情報役割
AI匿名化・集計済みの属性データ(年齢層・購買傾向等)セグメント条件案・訴求文面の生成
配信ツール・MAツール個人情報(氏名・メールアドレス等)実際の配信対象の抽出・紐付け・送信
生成物全体ブランドトーン・規制表現の最終確認

なお、セグメントごとに複数回・複数のタイミングで配信するシナリオそのものを設計する場合は、MAシナリオ設計にAIを使う方法で扱っている考え方に近くなります。本記事で扱うのは、1回の配信の中で内容を出し分ける際の役割分担です。

配信リストの個人情報をAIに渡さない運用

上記の役割分担の前提として、配信リストそのもの(氏名・メールアドレス・過去の購入明細等)をAIサービスに直接入力しないことを、当社では運用ルールとして徹底しています。

  • 顧客リストのCSVやエクスポートデータをそのままAIに読み込ませない
  • セグメント条件を考えるためにAIへ渡すのは、集計・匿名化された属性データまでに留める
  • 個々の顧客の氏名・連絡先が含まれるデータは、配信ツール・MAツール側で処理を完結させる

利用するAIサービスが法人向けプランであるか、入力データが学習に利用されない設定になっているかについても、契約前に確認することをお勧めします。この点はバックオフィスのAI活用でも詳しく扱っています。

ここまでの内容を、自社の依頼として整理してみませんか

課題が固まっていない段階でも、実務でAIを使える人材への依頼内容を一緒に整理できます。

費用感と進め方を相談する

特定電子メール法への留意点

メルマガを含む広告・宣伝目的の電子メールの配信については、特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)で、あらかじめ受信者の同意を得た相手にのみ送信するという考え方(いわゆるオプトイン規制)や、送信者に関する情報を本文に表示する義務が定められています。

AIに件名・本文を作らせる場合でも、この法律が定める要件そのものをAIが代わりに満たしてくれるわけではありません。配信リストの同意状況の管理や、本文に含めるべき表示事項の確認は、AI活用の話とは別に、配信側の運用として整えておく必要があります。正確な要件は総務省・消費者庁が公開している特定電子メール法の解説ページでご確認いただき、自社の配信が要件を満たしているかどうかの最終的な判断は、必要に応じて弁護士等の専門家にご確認いただくことを強くおすすめします。

※本記事の特定電子メール法に関する記述は一般的な考え方の整理であり、法的助言ではありません。

効果分析の読み方

配信後は、開封率・クリック率・コンバージョン率(CVR)といった指標を確認しますが、当社が支援先の数字を見てきた中で気をつけているのは、指標を単独で見て良し悪しを判断しないことです。

  • 開封率は件名の良し悪しに強く影響されますが、開封後の本文・CTAの精度は反映しません。件名だけを強めても、その先のクリック率・CVRが伴わない場合、期待を煽りすぎている可能性があります。この考え方はキャッチコピーをAIで作る方法のA/Bテストの章でも触れています。
  • クリック率が高くてもCVRが低い場合、CTA先のLPやオファーとメルマガの訴求がずれている可能性があります。
  • 配信するたびに件名のパターンを変えている場合、どの訴求軸・トーンが効いたかを言語化して、次回のプロンプト設計に反映することをお勧めします。

数値の変化をメルマガの内容だけの効果と決めつけず、配信タイミングや対象リストの入れ替わりなど、他の要因も踏まえて確認する必要があります。

実務チェックリスト

メルマガ作成にAIを使う際、当社が確認している項目です。

  • [ ] 訴求軸を人が先に言語化したか
  • [ ] 件名・本文をAIに複数パターン幅出しさせたか
  • [ ] 件名の訴求と本文の内容が食い違っていないか確認したか
  • [ ] CTAを1つに絞ったか
  • [ ] セグメント条件を考える際にAIへ渡すデータは匿名化・集計済みか
  • [ ] 実際の配信対象の紐付けは配信ツール・MAツール側で行っているか
  • [ ] 配信リストの個人情報(氏名・メールアドレス等)をAIに直接入力していないか
  • [ ] 特定電子メール法の同意管理・表示義務を配信側の運用として確認したか(専門家確認を推奨)
  • [ ] 開封率・クリック率・CVRを組み合わせて確認したか

よくある質問

Q. メルマガの件名はAIで作れますか? A. 訴求軸を人が決めた上でAIに複数パターンを出させ、開封後の本文と食い違わない案を人が選ぶという進め方であれば、実務で使えると当社は考えています。

Q. メルマガのAI活用で最も気をつけるべきことは何ですか? A. 当社が最も重視しているのは、配信リストに含まれる氏名・メールアドレスといった個人情報をAIに直接渡さないことです。セグメント別に出し分ける場合も、AIに渡すのは匿名化された属性データまでに留め、実際の配信対象との紐付けは配信ツール・MAツール側で行うという役割分担を崩さないようにしています。

Q. メルマガのAI活用とMAシナリオ設計は何が違いますか? A. 本記事で扱うのは1回の配信の件名・本文づくりとセグメントごとの出し分けです。複数のメールを組み合わせて配信タイミングまで設計する場合は、MAシナリオ設計にAIを使う方法で扱っている考え方に近くなります。

Q. 広告目的のメルマガを送る際に注意すべき法律はありますか? A. 特定電子メール法により、受信者の同意を得た相手への送信(オプトイン規制)や、送信者情報の表示義務が定められています。正確な要件は総務省・消費者庁の解説ページでご確認いただき、最終的な判断は専門家にご確認いただくことをおすすめします。

さいごに

メルマガの件名・本文づくりは、AIに任せることで幅出しのスピードは確かに上がります。ただし、開封後に読まれるかどうかを決める本文の精度や、配信リストの個人情報の扱いは、最終的に人が確認すべき範囲です。当社では、AIには「量を出す」役割を、人には「選ぶ・確認する」役割を担ってもらう、という線引きを意識しています。

なお、マーケティング組織全体のAI活用については、当社の総論記事「マーケティング組織のAI化とは?進め方と活用領域マップ」でも整理していますので、あわせてご覧いただければと思います。

メルマガ運用の設計や、セグメント別配信の仕組みづくりについて相談したいという方がいらっしゃいましたら、ぜひ当社までお気軽にご相談ください

※本記事の特定電子メール法に関する記述は一般的な考え方の整理を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の配信が法令に適合するかどうかの最終判断は、専門家(弁護士等)にご確認ください。

自社のAI導入・AI活用について相談したい場合は、企業からのご相談もご検討ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

AI活用人材への依頼を相談する

課題整理の段階から、実務でAIを使える人材の活用方法を相談できます。

  • 相談した時点で契約は発生しません。
  • ご紹介にあたっての手数料は利用規約 第11条に記載しています。
  • ご紹介は、書類と面談で実務のAI活用経験を確認した人材に限られます。