コラム
生成AIのマーケティング活用事例|業務別ユースケース集
生成AIをマーケティングに活用する事例を業務別に整理。LP制作・クリエイティブ・SNS運用・データ分析などでAIに任せられる範囲と人が担うべき判断をmalnaの実践から解説します。
公開日:2026年8月9日
執筆・編集:malna編集部(編集方針)

私は2018年にmalnaを創業してから、マーケティング支援の現場で数えきれないほどのご相談を受けてきました。ここ数年でとりわけ増えたのが、「生成AIをマーケティングに活用した事例を知りたいけれど、実際にどの業務から手をつければいいのか分からない」というお声です。
当社、malna(マルナ)では、全社員がClaude Codeを日常的に使う体制に切り替えたことをきっかけに、マーケティング業務の一つひとつを見直す機会がありました。その中で見えてきたのは、「マーケティング」とひとくくりに語られる業務も、実際にはLP(ランディングページ)制作・クリエイティブ制作・SNS運用・データ分析など、性質の異なる工程の集合体だということです。
本記事では、マーケティングの業務を機能別に分解し、それぞれで生成AIがどこまで任せられるのかを、当社の実践を交えてご紹介します。業務ごとの詳しい手順やプロンプトは各業務の個別記事に譲り、本記事では全体像の把握を目的にしています。
生成AIのマーケティング活用とは
生成AIのマーケティング活用とは、文章・画像・データ処理などの一部をAIに任せることで、マーケティング業務を効率化し、人はより難易度の高い判断や創造的な仕事に時間を使えるようにする取り組みを指します。
大切なのは「AIに何をやらせるか」ではなく「AIと人の役割分担をどう設計するか」だと当社は考えています。同じ業務でも工程を分解してみると、「AIに任せて問題ない部分」と「最終的に人が判断すべき部分」がはっきり分かれてくるためです。
生成AIの活用は3段階で広がっていく
生成AIのマーケティング活用は、多くの組織で一足飛びに全社展開するわけではなく、次の3段階を経て広がっていく傾向があると当社は捉えています。
- 個人利用の段階:特定の担当者が、自分が抱える業務(文章の下書き・情報整理など)でAIを試し始める段階です。効果は個人の工夫に依存しやすく、使い方が属人化しがちです。
- チーム定着の段階:特定の業務(LP制作・広告レポート作成など)でAIを使う手順が言語化され、チーム内で再現できるようになる段階です。プロンプトや使い方が、個人の工夫からチームの共有資産に変わります。
- 組織全体への広がりの段階:複数の業務にまたがってAIと人の役割分担が設計され、部門を横断してAIの利用が前提のワークフローになる段階です。
当社自身も、全社員がClaude Codeを使う体制に切り替わるまでには、社員それぞれが試行錯誤する期間がありました。次章でご紹介する業務別の役割分担は、この3段階目「組織全体への広がり」を前提にした整理です。自社が今どの段階にいるかを把握することが、次に何を優先すべきかを判断する手がかりになります。
業務別に見る生成AIの活用範囲
まずは業務ごとの役割分担を一覧にしました。詳しい工程や具体的なプロンプトは、各業務の個別記事でご紹介しています。
| 業務 | AIに任せやすい部分 | 人の判断が必要な部分 |
|---|---|---|
| LP制作 | 構成案・ワイヤーフレーム・コピーの下書き | 訴求の設計・優先順位づけ |
| 広告クリエイティブ・バナー制作 | 参考画像の分析→生成→微修正 | 商用利用可否・他社クリエイティブとの類似性確認 |
| キャッチコピー作成 | 訴求軸に沿った案の幅出し | 表現の最終選定・景品表示法や薬機法上の確認 |
| SNS運用 | 投稿文・画像案の作成、スケジューリング | 炎上リスクのある投稿の可否判断 |
| 広告レポート作成 | 集計・可視化の自動生成 | 数字の解釈・クライアントへの示唆出し |
| MAシナリオ設計 | セグメント×トリガーの組み合わせの下書き | 顧客理解に基づく仕上げ |
| ペルソナ設計 | ペルソナのたたき台作成 | 実データとの接続・検証 |
| マーケティングデータ分析 | データの整形・特徴の抽出 | 問いの設定・意思決定への接続 |
| パーソナライゼーション | セグメント別メッセージ文面の下書き | 配信前の内容精査・整合性確認 |
| 動画広告・クリエイティブ制作 | 構成案・字幕案・簡易素材の生成 | 権利確認・音声や肖像の使用可否判断 |

LP制作
構成案・ワイヤーフレーム・コピーの下書きといった工程は、生成AIで大きく前倒しできます。一方で、どの訴求をどの順番で見せるかという設計そのものは、最終的に人の判断が欠かせません。工程別にどこまで任せられるかは、個別記事「LP制作はAIでどこまでできるか」にまとめました。
広告クリエイティブ・バナー制作
参考画像の分析→生成→微修正、という流れをAIに任せることで、バナーの量産スピードは大きく変わります。ただし、生成した画像の商用利用可否や他社クリエイティブとの類似性の確認は、必ず人が行う必要があります。権利面の注意点も含めて、個別記事「広告バナーは生成AIでつくれるか」で解説しています。
キャッチコピー作成
訴求軸を決めたうえでAIに幅出しをさせ、そこから人が選ぶという流れが実務的です。生成AIは景品表示法・薬機法に触れる表現を意図せず出すことがあるため、公開前のチェックは省略できません。選定基準や公開前チェックリストは、個別記事「キャッチコピーをAIで作る方法」にまとめています。
SNS運用
投稿の企画・文章作成・画像生成・スケジューリング・分析まで、工程ごとにAIが担える範囲は異なります。特に炎上リスクのある投稿の判断は、人が握るべき領域だと当社は考えています。工程ごとの線引きは、個別記事「SNS運用のAI活用」で詳しく取り上げました。
広告レポート作成
当社でも、以前は人が集計・作成していたクライアント別の広告パフォーマンスレポートが、今は自動生成される仕組みに切り替わっています。ツールを新規契約しなくても、スプレッドシートと生成AIの組み合わせから始められる範囲があります。実装の手順は、個別記事「広告レポート作成の自動化」でご紹介しています。
MAシナリオ設計
セグメント・トリガー・コンテンツの組み合わせをAIに下書きさせ、顧客理解をもとに人が仕上げるという役割分担が機能します。設計例やテンプレートは、個別記事「MAシナリオ設計にAIを使う方法」に譲ります。
ペルソナ設計
AIにペルソナのたたき台を作らせること自体は可能ですが、実データと接続しないまま使うと「意味のないペルソナ」になりがちです。作り方と限界は、個別記事「AIペルソナとは?マーケティングでの作り方と限界」で掘り下げました。
マーケティングデータ分析
GA4・広告・CRM(顧客関係管理)のデータをAIに渡して終わり、では実務で使える示唆にはなりません。問いの立て方から検証までの設計は、個別記事「マーケティングデータ分析に生成AIを使う方法」で解説しています。
パーソナライゼーション(顧客データを起点にした情報発信)
顧客データや行動履歴をもとに、メッセージの内容を一人ひとりに合わせて出し分ける工程にも、生成AIの活用が広がっています。セグメントごとに異なるメール文面やLP訴求文をAIに下書きさせ、配信前に人が精査するという流れです。MAシナリオ設計と重なる部分もありますが、パーソナライゼーションは「同じ枠組みの中で文面をどれだけ出し分けられるか」に軸があり、MAシナリオ設計は「どのタイミングで何を届けるか」の設計に軸がある、という違いがあります。
動画広告・クリエイティブ制作
静止画のバナー制作に加えて、動画広告の構成案・字幕案・簡易的な素材生成にも生成AIの活用範囲が広がっています。ただし動画は音声・著作権・出演者の肖像など確認すべき点が静止画よりも多く、公開前の権利確認はより慎重に行う必要があります。本記事の執筆時点では、動画クリエイティブに特化した検索ニーズがまだ大きく立っていないため個別記事化はしておらず、ここでは概要の言及にとどめます。
そのほかの業務領域
広告運用そのものの機械学習領域との役割分担、業務の自動化に着手する順番、外部の市場調査、日常的に使える汎用プロンプトの型についても、それぞれ個別記事でご紹介しています。メルマガやウェビナーの企画・運用など、まだ検索ニーズとして大きく顕在化していない業務についても、生成AIの活用が広がっている領域だと当社は考えています。業務の性質やチームの体制によって、AIが効く領域はこれからも広がっていくものと見ています。
なお、コンテンツマーケティングの中でも記事執筆へのAI活用については、実際にツールを試した経験を別記事にまとめています。詳しくは「AIで記事作成は効率化できる?6つのツールを試して痛感した『人間』の重要性」をご覧ください。本記事では記事作成の深掘りはせず、他の業務領域との位置づけに留めます。
BtoBとBtoCで生成AI活用はどう違うか
マーケティングと一括りに言っても、BtoB(法人向け)とBtoC(消費者向け)では、生成AIの使いどころに違いが出やすいというのが、複数の業種を支援してきた当社の実感です。以下は断定的な優劣ではなく、傾向として整理したものです。
| 観点 | BtoBで活きやすい活用 | BtoCで活きやすい活用 |
|---|---|---|
| コンテンツの主戦場 | ホワイトペーパー・提案資料・営業メールの下書き | SNS投稿・広告クリエイティブ・LPコピーの量産 |
| 生成AIの強み | 専門情報の要約・構成案づくり | 訴求パターンの幅出し・パーソナライズ |
| 検討サイクルの特徴 | 検討期間が長く、1件あたりの精度が重視されやすい | 検討期間が短く、量とスピードが重視されやすい |
| 人が握るべき判断 | 業界特有の専門性の確認・事実確認 | ブランドトーンの一貫性・炎上リスクの判断 |
BtoBでは、専門性の高い情報を整理し、営業やインサイドセールスが使う資料のたたき台を作る用途で生成AIが効きやすい傾向があります。一方でBtoCでは、SNSや広告クリエイティブのように打ち手の数そのものが成果に影響しやすい業務で、生成AIによる量産効果が発揮されやすいというのが実務上の感触です。
ただし、これはあくまで傾向であり、絶対的な線引きではありません。BtoB企業がSNS運用にAIを使う場面も、BtoC企業が提案資料の作成にAIを使う場面も実際にあります。自社の業態がどちらの傾向に近いかを踏まえたうえで、前章の業務別整理から着手する業務を選ぶことをおすすめします。
当社が実際に経験している変化
ここまでご紹介した内容は、当社自身の業務の中で実際に起きている変化がベースになっています。
- クライアント別の広告パフォーマンスレポートは、以前は人が集計・作成していましたが、今は自動生成される仕組みに切り替わっています
- 広告費の立替額とクライアントへの請求額の突合も、自動照合の仕組みで行うようになりました
- 商談・社内会議の音声を自動で文字起こし・要約する仕組みが、日常的に使われています
- オウンドメディア記事の執筆時には、複数の視点からのレビュー討議を経て改善する体制が、人手を介さず動く形で構築されています
- 記事の更新齢やスパムバックリンクの検知、一次情報の鮮度チェックといった定期的な棚卸し業務も、定期実行の仕組みで確認するようになりました
- スケジュールの空き時間確認や社内ドキュメントの整理といった細かい業務も、都度AIに依頼して片付けるようになりました
「想像できる業務効率化は、細かいところまで含めてほぼ実現している」というのが、業務を一つひとつ棚卸ししてみた正直な実感です。特別な開発をしたわけではなく、業務を工程に分解し、AIに任せる部分と人が担う部分を決めていった積み重ねの結果だと考えています。前章でご紹介した3段階のうち、当社は個人利用からチーム定着を経て、組織全体への広がりの段階まで進んできた実感があります。
なお、本記事ではあえて「〇割削減」といった相対数値を出していません。実際に厳密な計測をしていない体感値を数字にしてしまうと、かえって不正確な情報になってしまうと考えているためです。上記はいずれも、以前は人が行っていた作業が今は自動化されている、という直接確認できる変化としてご紹介しています。

生成AIを業務に組み込むときに気をつけたいこと
業務にAIを組み込む際、必ず押さえておきたいのが情報の取り扱いです。
顧客の個人情報・取引先名・未公開の数値などは、そのままプロンプトに入力しないようにする必要があります。ダミー値に置き換える、マスキングするといった手順を社内でルール化しておくことが欠かせません。また、利用するサービスの学習利用・データ保持ポリシーは契約プランによって異なるため、最新の公式情報で確認することをおすすめします。
著作権やブランドトーンの一貫性にも注意が必要です。生成AIが出力した文章・画像がそのまま公開に耐えるとは限りません。既存の著作物との類似性がないか、自社のトーン&マナーから逸脱していないかを、公開前に人の目で確認する工程を残すことをおすすめします。
社内のAI利用ルールを整備する際は、自社のルールをゼロから作るだけでなく、公的な指針を土台にすることもできます。たとえば総務省・経済産業省が公表している「AI事業者ガイドライン」は、AI提供者・開発者・利用者それぞれの立場で留意すべき事項を整理しています(総務省「AI事業者ガイドライン」掲載ページ)。自社のルール整備の参考情報としてご覧ください。
日常的に使える汎用プロンプトの型や、機密情報を扱う際の具体的な注意点は、個別記事「マーケティングで使える生成AIプロンプト集」で詳しくご紹介する予定です。
よくある質問
Q1. 生成AIはマーケティングのどんな業務に向いていますか? 文章・画像・データの下書きや整理など、量をこなす工程に向いています。一方で、訴求の最終判断や公開可否の確認は、人が担うべき領域だと当社は考えています。
Q2. 生成AIをマーケティングに使う際、最も気をつけるべきことは何ですか? 機密情報・個人情報をそのままプロンプトに入力しないことです。ダミー値への置き換えと、社内ルールの整備を先に行うことをおすすめします。
Q3. 生成AIとMA(マーケティングオートメーション)ツールは何が違いますか? MAツールはあらかじめ設定したシナリオに沿って配信を自動化する仕組みで、生成AIは文章・画像の生成やデータの整理といった、より柔軟な処理を担います。両者は競合するものではなく、組み合わせて使うものだと当社は考えています。
Q4. 未経験でも生成AIをマーケティング業務に取り入れられますか? 取り入れられます。ただし、いきなり全業務を任せるのではなく、業務を工程に分解して「AIに任せる部分」を一つずつ決めていく進め方をおすすめします。着手の順番については、個別記事「マーケティング業務の自動化・効率化|どこから着手すべきか」で解説しています。
Q5. 生成AIの導入にはどれくらい費用がかかりますか? 汎用的な生成AIサービス自体は個人向けプランであれば比較的少額から使えますが、業務設計や運用体制の構築まで含めた費用感は企業によって幅があります。考え方の内訳は、個別記事「AI導入の費用はいくらかかる?」でご紹介しています。
Q6. BtoBとBtoCで生成AIの使い方に違いはありますか? 傾向としての違いはあります。BtoBは専門情報の整理や提案資料のたたき台作成に強みが出やすく、BtoCはクリエイティブやメッセージの量産に強みが出やすいというのが実務上の感触です。詳しくは前章でご紹介しています。
Q7. 生成AIの活用を個人利用から組織全体に広げるには何が必要ですか? 個人の工夫を属人化させず、チームで再現できる手順に言語化することが最初の一歩です。当社の実践では、業務を工程に分解し、AIに任せる部分をチームの共通認識にしていったことが、組織全体への広がりにつながりました。詳しくは2章でご紹介しています。
さいごに
本記事では、マーケティングの業務を機能別に分解し、生成AIがどこまで任せられるのかを業務ごとにご紹介しました。「AIに何をやらせるか」ではなく「AIと人の役割分担をどう設計するか」——この視点を持つと、次に着手すべき業務が見えやすくなるのではないでしょうか。
マーケティング組織全体でのAI化の進め方については、個別記事「マーケティング組織のAI化とは?進め方と活用領域マップ」で詳しくご紹介しています。まずは全体像を把握したい方は、あわせてご覧ください。
「自社の業務のどこから着手すればいいか、一緒に整理してほしい」という方がいらっしゃいましたら、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。
自社のAI導入・AI活用について相談したい場合は、企業からのご相談もご検討ください。



